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いまどき(現時)物語

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「あのビルの最上階って、ヤケに神々しい光を放ってるよなあ、
ミステリアスな紫な色、スカイラウンジってなもんじゃないよなあ、そんなものよりもっと曼陀羅華だが不可思議にぼやーとしている、

あの色気な輝きは一体何だろか? 最上階に何があるんだろなあ?」

今、高見沢の心の真芯に眠っている好奇心が噴き出して来る。
こうなってくれば、どんどんと本来の高見沢に戻って行く。
要は、DNAにしっかり刻み込まれた通りの遠慮のない関西系サラリーマン、そこへと原点回帰し出すのだ。
そして恥も外聞もなく、いきなりの鬱から躁への大変心。

「ヨッシャ、気晴らしだ! 
今からあのビルに行って、あの紫の光は何か確かめてみるか」

高見沢は実に単純。
そして決断がヤケに早い。

もう会社生活の鬱陶しさ、そんなものは完全に頭から消失してしまっている。
夏の夜に飛ぶ蛾の如く、その妖艶な光の方角へと無思考に歩き出す。

駅の混雑さをすり抜けて、十分程度、足早に寄せ来る人波をアゲインストに突き進んで行っただろうか。

その目指すビルへと辿り着いたのだ。


作品名:いまどき(現時)物語 作家名:鮎風 遊