いまどき(現時)物語
「四つの【み】とはねえ、いいか、
〔恨(うら)み〕、〔辛(つら)み〕、〔妬(ねた)み〕、〔嫉(そね)み〕だよ、
これら四つの【み】が会社の中では、ぐるぐると渦巻いてんだよ」
マキコ・マネージャーは、「ふうん、そうなの … そうなのよね」と拍子抜けだが、なぜか納得している。
「マキちゃんも花の管理者、思い当たる所があるだろうが」
「うんうん」と、マキコマネージャーは急に殊勝で純情。
高見沢はその上におっかぶせるように、自信満々に言ってのけるのだ。
「そんなドロドロとしたサラリーマン社会を生き抜くには …
さらに、【さしすせそ】が必要なんだよ」
「その【さしすせそ】が、ホウレンソウを越えるサラリーマンの処世術なの?」
「その通りだよ、
【さしすせそ】、
つまりサラッとシカトして、上にはスッてセコセコと、後はソレはソレなりにやって行く、
これこそが【さしすせそ】の世渡り匠の技、いいか、これがマイライフの基本なんだよ」
高見沢はここまで言い切って、後はふんぞり返っている。
マキコ・マネージャーは、高見沢のあまりの勢いと、アホなこじ付け人生訓を聞き、開いた口が塞がらない。
そして、全くの呆れ顔。
作品名:いまどき(現時)物語 作家名:鮎風 遊