いまどき(現時)物語
高見沢は、結果の話しになると急に弱気になってしまう。
「そうなんだよなあ、これが俺のライフ・パターンかな、そこんとこをちょっと辛抱してもらいたいんだけどなあ」
「高見沢さん、それはね、そのように型にはめ込んだ時に、物事は永遠に成就しないっていう事なのよ、だからもっと具体的に結果を出すために、どうしたら良いか話し合いをしましょ」
マキコ・マネージャーは訓話好きな管理者らしき事を言って来る。
そこには女性管理者特有のねちっこさと嫌みがある。
高見沢は辟易して来た。
そして、それには絶対勝てないと思い、ここは男の融通で引き下がる事とした。
「ああ、わかったよ」
されどマキコ・マネージャーは、しつこく念を押して来る。
「私達のグリーン・アイズ・プロジェクト、もう一度仕切り直しをしましょ、新たな展開へのキックオフよ、だから出掛けて来て頂戴」
マキコ・マネージャーに随分と力が入っているようだ。
高見沢は、肩に力の入った相手、それも女性となればムッチャ苦手。
全て出たとこ勝負で成り行き任せ、言い換えれば、極楽トンボでタラタラと生きて来た。
特別に力を入れなくとも、時間が経てば、何らかの結論が必ず着いて行く。
結局は、成るようにしか成らないのだ。
「じゃあ、明日ね」
高見沢はもう邪魔くさくなったのか、考える事を止めてケイタイを切った。
作品名:いまどき(現時)物語 作家名:鮎風 遊