いまどき(現時)物語
高見沢は、これでまたまた調子に乗せられて、
「そうだなあ、宇治十帖って、未完なままだったよなあ、ヨッシャ、俺がもう一度もののけになって、もっとオモロクその後を終わらせてやるよ」と、なんと厚かましい決意をしてしまうのだ。
全国の源氏物語ファンが聞いたら、怒り心頭、獄門磔(ごくもんはりつけ)に合いそうだ。
「そうよ、高見沢さん、会社で高難度の目標を掲げて毎日頑張ってはるのでしょ、こちらの私的な世界でも一緒よ、
だから、浮舟を現代に連れて来るという高い志しを持って、宇治十帖の続編で完結を目指し、頑張って!
だから、究極ハッピー・ワールドにいつまた来てもらってもOKよ、それに私も出来るだけ協力するわ」と夕顔はやる気満々。
「ありがとう、夕顔さん、浮舟に夢浮橋を渡らせてやりたい、必ずまた戻って来るから、じゃあ、請う御期待で、アディオス!」
高見沢は夕顔にVサインを送り、別れを告げて高層ビルを出るのだった。
作品名:いまどき(現時)物語 作家名:鮎風 遊