いまどき(現時)物語
「シッツレイ … しまーす!」
高見沢は大きく声を掛け、女をもう一度抱きかかえた。
中腰で膝を立て、その上に女をうつ伏せにし、くの字に乗せた。
そして胃の辺りを膝で、くっくっと押し込んだのだ。
女は「うっ」と嗚咽し、水を吐いた。
高見沢は、今度は「大変、シッツレイ … 致しました!」と言い放ち、女をそっと横に寝かせた。
少し精気が戻って来たのだろうか、身体がピクリと動く。
高見沢は、女性の様子をもう一度眺めてみる。
着物がはだけている。
そこには透き通るような色白な細身の身体、しかし、張りのある奇麗な乳房が見える。
そして、濡れた着物の裾は乱れ、スラッとした足がのぞいている。
柔らかそうな太もも辺りまで露わで、美しい。
若く清純な色気が伝わって来る。
高見沢は、一瞬そっと触れてみたい衝動にかられる。
しかし、水火も辞せずの人助け初体験。
その値打ちを落とさないないためにも、邪悪な気持ちを抑え込んだ。
そして、姿が乱れた若い女性の恥かしさを思いやり、まだ水の乾かぬ裾をそっと直してやったのだった。
作品名:いまどき(現時)物語 作家名:鮎風 遊