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いまどき(現時)物語

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「私、夕顔と申します、
ようこそ高見沢さん、よくぞエレベーターのドアー閉ボタンをシフトキーとして使い、この都会の癒しの空間をゲットして頂きました、さすが1.5流のサラリーマンですわ」

お姉さんは、一転して事務的口調で、わけのわからないお褒めを述べて来る。
高見沢は「なんで俺が1.5流なんだよ?」と聞き返す。

「だって、一流の人だったら、頭っからこんな所には来はらしまへんし、二流や三流の人ではね、感度鈍くてここはゲット出来まへん、そやよって、まあ堂々の1.5流どす」と、夕顔は屁理屈で答えて来る。

「いやー、光栄の1.5流でアンガトウ、そんな事より何で俺の名前を知っているの?
それにここは一体どういう空間なの? 
一万円の入場券までアンタに買わされたんだぜ」と、高見沢は食い下がる。

夕顔お姉さんは今度はきりっとした京美人顔となり、しっかりと正面を切って話し出す。

「高見沢さん、下の階をウロウロしてはる時に、祇園の本店に写真情報送って、もうとっくに調べ切ってますよ、高見沢さんてどんな人か言い当ててみましょうか、

仕事で矢面に立たされて辛い辛いと自分勝手に思っているお疲れサラリーマンなのでしょ、だけど真実は違う、全くこたえていない、そのように振る舞ってはるだけでしょ」

高見沢は言い当てられたのか、ドキッとした。
「えっ、アホな事言うなよ … 会社勤め、結構シンドイ境遇なんだけどなあ」と歯切れが悪い。

「まあ、それはそれとして、夕顔さん、もう一回聞くけど、ここは一体何するとこなの? 正直に教えてくれる」と聞き返した。
夕顔は、「それでは、いいですか、ようく聞いて下さいね」と言い、今度はビジネス・ウーマンに変身し、念を押すように話すのだ。

「ここはね、人生心残りな事が体験出来る究極ハッピー・ワールドなの」

「うっ … 何じゃ、そりゃ?」
高見沢は品のない声を上げた。


作品名:いまどき(現時)物語 作家名:鮎風 遊