いまどき(現時)物語
事ここに至れば、高見沢はさらに突っ込まざるを得ない。
「そういう事だったのですか、
だけど、朝霧様をここまで駆り立てた一番深い気持ちは、何だったのでしょうね?」
「私の推測ですが、
朝霧様が我々五人の全ての関係を初めてお知りになり、
その乱れた関係の中で、私が一番不幸になっている事に気付かれたのではないでしょうか」
「なるほどね」と、高見沢も浮舟も深く頷いている。
「全ての始まりは朝霧様の私への愛、それと桜木への恋の妬みからです、
それが証拠に、桜木に対し、今までそれはそれは酷い職場虐めでしたから」
「桜木様は、その仕返しにと、椿子様に絡んで行かれたのですか?」
高見沢は思わずズバリ聞き返した。
小夜子花はそれに全く動じる様子もない。
「多分、そうだと思います、だけど桜木は、椿子と途中から抜き差しならぬ仲になってしまったのでしょうね」
高見沢はここまでの背景を知り、「奥様、お気持ちの方、大丈夫ですか?」と気遣わざる得ない。
「御心配ありがとうございます、大丈夫です、
というのも、朝霧様は、一生愛し続けると言った女、私への男としての愛の証明、
単にそれをなされただけですから」
「奥様、それでも本当に良かったのですか?」と、高見沢は再度確認をしてみる。
作品名:いまどき(現時)物語 作家名:鮎風 遊