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いまどき(現時)物語

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「えっ、今、何て仰いました?」
高見沢はこんな大事な一言発言を逃したくない。 
そんな一心だ。

それに応えて、小夜子花は「椿子は、私の高校時代の友人なのです、バカな子ですよね」と繰り返す。

「椿子様が、小夜子花様の御友人だったのですか?」と、高見沢は再確認をすると、
「そうなのです」と、小夜子花は改めて深く頷いた。

そして、「長い間、私を悩まして来たみんなが、そう、私の目の前から次から次へと消えて行ってしまったわ、本当に不幸な事だわ」と淡々と語って来る。

「だけど、奥様も大変びっくりされたでしょう、夫を返して欲しいとお願いした人が、夫を殺害してしまうなんて」

当てずっぽうではあるが、高見沢はどんどんと核心へと入り込んで行く。
そして、それに乗せられてしまったのか、小夜子花ももう止まらないようだ。

「何故そうなったのか、よくわからないのですが …

随分と昔の、若い頃の話しですけど、私、朝霧様から激しくプロポーズされた事があったのですよ …

貴女一人を、一生愛し続けると言われましたわ」

またまた心臓が飛び出すほどの告白だ。
「えっ、それで、どうされたのですか?」と、高見沢は思わず聞き返した。

「何もありませんでしたわ、
その時既に桜木と恋に落ちていましたので、丁重にお断りさせて頂きました」と、小夜子花は涼しい表情をしている。

「朝霧様の恋敵は、桜木様だったのですか … それで憎しみも … 人一倍に」

「多分、朝霧様は、純なお気持ちで、
私のために、桜木を妻の椿子様から引き離し、私に返してやりたいというお心が芽生えたのでしょうね、

だけど正直申しまして、プライドの高い朝霧様にとって、思うに任せなかった私への恋心、そして嫉妬で狂うほどの恋敵を、生身で返すわけにはいかなかった、

多分、桜木を殺して、私に返すという方法しかなかったのかも知れませんね」


作品名:いまどき(現時)物語 作家名:鮎風 遊