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いまどき(現時)物語

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暫くの重い沈黙の後、小夜子花は何を思い切ったのか、口を開く。

「実は、お恥かしい話しなのですが、宅の桜木と朝霧様の奥様とは、本当に長い間、親しくお付き合いをさせて頂いていたようで … 私、随分辛い思いをして来ましたわ」

今度は高見沢と浮舟が、小夜子花の突然の告白に意表を突かれ、心臓が高鳴る。
だが小夜子花は、それを気にも留めず淡々と話し続ける。

「それが最近、桜木が奥様に別れ話しを持ちかけたようで、
だけど、奥様は桜木を引き止めるために高額の手切れ金を要求されて、桜木は慌てていましたわ、

奥様には、もうそろそろ桜木を手放して頂いて、私の所に静かに帰って来て欲しかったのですが」

高見沢は、「それは、また大変御苦労な事でございましたね」としか返す言葉が見つからない。
されど、ここまでの告白があった以上、もう少し突っ込んで核心を聞いてみたい。

「奥様、この件で、誰かに相談された事ありましたか?」

小夜子花の淡泊な表情に変化はない。
しかし、その場の空気が凍り付くような答えが飛び出して来たのだ。

「はい、私、本当に辛くって、大変失礼かと思ったのですが、
朝霧様に相談というより … お願い申し上げましたの、

実は、桜木がこんな目に合う二日前に、
たまたま京都駅のホームで朝霧様をお見かけしたものですから、それで、私困っておりましたので、ちょっと御挨拶させて頂きました」


作品名:いまどき(現時)物語 作家名:鮎風 遊