いまどき(現時)物語
「次に朝霧を殺害した可奈子が殺される、その犯人は朝霧の妻の椿子、
まず愛人の桜木が朝霧に殺された、どうも可奈子が朝霧にけしかけた疑いがある、
そして、仮面夫婦でも夫婦は夫婦、可奈子が夫の朝霧を殺してしまった、
二人の男を奪われてしまった椿子、可奈子を絶対に許す事が出来ない、
可奈子が憎い、
これぞ復讐だね、
椿子は可奈子のマンションに出掛け、毒殺してしまう、
そうだよ、憎悪の連鎖なんだよ」
憎悪の連鎖、なんと恐ろしい言葉だろうか。
「ホントね、桜木は上司の朝霧に殺される、
朝霧は不倫相手の可奈子に憎さ百倍で殺される、
そして、可奈子は愛のライバルの椿子に殺されて、
最後に椿子は自己破滅で自殺してしまう、
本当に恐ろしいわ、これこそ憎悪の連鎖だわ」
浮舟は顔を強ばらせながらも深く頷いている。
そして、その連鎖の模様を相関図に書き込んで行く。
? 朝霧の部下の
「桜木」
↑ 撲殺
↑
? 「朝霧」
↑ 刺殺
↑
? 最近朝霧から桜木に心を移していた
「可奈子」
↑ 毒殺
↑
? 朝霧の妻
「椿子」 最後に、川に身を投げ、自殺
こんなメモを見ながら、高見沢は、
「最初のドミノの駒を倒したのは、朝霧なんだよなあ」と何気なく呟く。
しかし、浮舟はまだ納得仕切れていないのだ。
作品名:いまどき(現時)物語 作家名:鮎風 遊