【第八回・弐】お祭り神社
「マジ!!?」
蜜柑がさらっと言った一言にほぼ全員が京助を見た
「…またこのパターンかよ…;」
京助が巨大ウチワを地面に立ててぼそっと呟いた
「ラムちゃんだろ~?」
浜本が京助に寄りかかりながら言う
「ああ!! あの昨日必死で京助守ってた金髪の子?」
昨日のアノ現場にいたらしい男子生徒が言った
「おんまえ彼女に守ってもらっていいのかぁ?;」
昨日アノ現場にいなかったと思われる生徒が言う
「だから…あのなぁ; 緊那羅は彼女じゃねぇし…あ~…; なんつえば…;」
京助が考え込む
「まぁ…かの【じょ】ではないよな彼女では」
坂田が言う
「そうだねぇ彼女ではないよね~」
南も笑いながら言った
「え!? 何? もしかして奥さん…!?」
蜜柑が驚きながら言う
「ミカ姉ミカ姉;」
中島が違う違うと手を振りながら蜜柑の肩を叩いた
「蜜柑さん相変わらず微天然;」
南が言う
「オ~ィ! 時間押してるから急ぐぞ~!!!」
中島家の前で数分間止まっている御輿衆におっさんが声をかけた
「ウィ~ッス」
数人の生徒が返事を返すとのらりくらりと御輿が動き出した
「いってらっしゃい~!」
蜜柑が手を振って見送った
「ヨシコさん?」
動こうとしないヨシコを女子児童が見上げた
「…先行ってて」
そういうとヨシコが女子児童の手を放して蜜柑の方へ歩き出した
「ちょっと!!」
家に入ろうとしていた蜜柑をヨシコが呼び止めた
「あれ…? アナタはゆーちゃんが半纏貸した…? 何?」
網戸になっている玄関の戸を閉めて蜜柑がヨシコに笑顔を向けた
「…アナタどうやってアノ人手なずけてるの?」
「…は?;」
真顔で言ったヨシコにわけがわからないという顔の蜜柑
「アノ人…って?」
蜜柑がヨシコに聞く
「アノ失礼な…アナタがゆーちゃんって呼んでる人よ!!」
ヨシコが答える
「ゆーちゃん?」
蜜柑が聞き返すとヨシコが頷いた
「別に私は…手なずけてなんかいないけど…どうかしたの? ゆーちゃんが何かした?」
ヨシコに近付きながら蜜柑が聞く
「何かどころじゃないわ! 人のこと重いだのうるさいだの…ッ!!」
ヨシコが言う
「だから決めたのッ!!」
ヨシコが声を張り上げて言うと蜜柑が首をかしげた
「アノ人が頭が上がらないみたいなアナタみたいになるわ!! そうよ!! 決めたのッ!! だから手なずけ方教えてもらうわ!!」
ヨシコが蜜柑を指差して高らかに宣言した
作品名:【第八回・弐】お祭り神社 作家名:島原あゆむ