【第八回・弐】お祭り神社
「アノ子お前等の知り合い?」
男子生徒が興味津々な目つきで聞いてきた
「ええ乳してまんなぁ…」
男子生徒が言うと数人が揃って頷いた
「おッ! アレに見えるは中島家!!」
南が言った
「ゆぅちゃ-----------んッ」
南の指差した先には紺の巻きスカートの裾をヒラヒラさせながら白い封筒を片手に満面の笑みを向けている中島家長女の蜜柑
「ミカ姉…;」
中島が溜息をついて肩を落とすと京助と坂田が揃って中島の肩を叩いた
「お前もゆうって言うのか?」
慧喜が中島に聞く
「そうそう!! コイツ柚汰ってんの」
南が中島を指差して慧喜に答える
「ふぅん…同じゆうでも悠助の方が可愛い」
慧喜がキッパリ言い切った
「ハイハイ;」
中島が右手を振ってやる気なく返事をする
「あいかわらずメンコイなぁミッカ」
鞄を持ったオッサンが蜜柑に言った
「褒めても何もでないよ河合さん」
そう言って笑った蜜柑が封筒を手渡した
「いいなぁ…お前美人双子姉妹の姉持ちって」
男子生徒が中島に言う
「美人?;」
中島が口の端を上げた
「可愛いじゃん蜜柑も林檎も」
男子生徒が返す
「そうかぁ?;」
中島が蜜柑の方を見ると目が合い蜜柑がにっこり笑った
「…わかんね」
蜜柑から目をそらした中島が頭を掻きながら言う
「俺だったら蜜柑派」
男子生徒が言った
「俺も」
別の男子生徒が言う
「俺は…」
やいのやいのと盛り上がっている男子生徒を中島が半分呆れ顔で見ていると蜜柑が中島に歩み寄ってきた
「あれ? ゆーちゃん半纏は?」
一人だけ半纏を着ていなかった中島に蜜柑が聞く
「あぁ…貸した」
中島がクイッと顎でヨシコを指した
「へぇ…相変わらず優しくていい子ッ」
蜜柑が背伸びして中島の頭を撫でた
「やめろってのッ!!;」
口ではそういいつつ赤い顔をしている中島だったが蜜柑の手を払うことなく撫でられている
「女の子には優しく」
蜜柑がにっこり笑って言うと中島が赤い顔のまま頭を掻いた
「…お前蜜柑さんに弱いよな…」
京助が中島に小さく言った
「…;」
図星なのか中島が黙り込んだ
作品名:【第八回・弐】お祭り神社 作家名:島原あゆむ