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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第八回・弐】お祭り神社

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膝に顔をうずめたままのヨシコにかける言葉が見つからない中島がそのまま立ち尽くしてから早十数分
「…も…大丈夫か?;」
おそるおそる中島がヨシコに声をかけた
「…大丈夫じゃないわ…」
くぐもった声でヨシコが返した
「…もうすぐ待ち合わせの時間だけど…」
中島が京助達と落ち合う約束を思いだして言う
「…行けばいいじゃない…私も後から行くわ…そうだから先に行っていいわ」
ヨシコが小さく言うと中島がヨシコの隣に腰を下ろした
「…いけるわけねぇじゃん…」
中島が言う
「…なんでよ」
少しだけ顔をあげたヨシコが聞いた
「お前方向音痴だし」
中島が答えるとヨシコが顔を上げた
「な…!」
「それに」
怒鳴ろうとしたヨシコの言葉が中島の付け加えの言葉で止められた
「…それに…泣いてるヤツ放っておけるか…」
そっぽを向いた中島が小さく言う
「もう泣いてないわ…っ!」
ヨシコが鼻を啜って強がった
「目腫れてるし」
中島がチラッとヨシコを見て言うとヨシコが目を押さえた
「こんな腫れすぐ引くわ!! そうよ! すぐ追いつくから先行ってもいいわ!!!
顔を赤くしたヨシコが怒鳴った
「…そんなに嫌か俺といるの」
中島が溜息をつきながら立ち上がった
「だってムカつくわ! 今だってモヤモヤしてるもの!! そうしてるのッ!!」
ヨシコが赤い目のまま中島を見上げて怒鳴ると中島がヨシコに背を向けた
「そうよ…早く行っていいわ…」
歩き出した中島の背中から目をそらしてヨシコが呟いた
「…可愛くないわ…」
一人膝を抱えたヨシコが出店の最終である綿飴屋の影で呟いた
「私も蜜柑みたく可愛かったら…りゅー様は私と恋してくれたのかしら…」
ザリ…っと地面を足でこすってヨシコが空を見上げた
「…私だって…」
そしてそのまま目を閉じたヨシコの目じりからまたあふれ出そうとした涙が冷たい何かで止められた
「な…に!?;」
驚いたヨシコが目を開けてついでに身を避けた

「目冷やせ」
赤色のシロップがかかったカキ氷を差し出した中島がしゃがんでヨシコと目線を合わせて言った
「…ゆー…」
「そしてその呼び方はやめろ;」
早く持てというカンジにカキ氷を動かした中島が言う
「…行ったんじゃなかったの?」
差し出されたカキ氷を両手でおそるおそる受け取りながらヨシコが中島に聞いた
「別に…」
中島が小さく答えた
「目冷やした後食えよ」
中島がカキ氷を指差して言いながら立ち上がった
「…ガラパン見えてるんだけど…;」
立ち上がった中島のズボンをヨシコが掴んだ
「…い…」
「い?」
ヨシコがうつむいたまま一言を言うと中島がソレを繰り返した
「…いかないで…」
いつもの強気な顔ではなく弱気でまた今にも泣き出しそうな顔でヨシコが中島を見上げて言った
「……」
そしてゆっくり手を離すとヨシコがまた俯く
「行けっていったりいくなっていったり…面倒くさい女」
「悪か…」
怒鳴ろうと顔を上げたヨシコの隣に中島が腰を下ろした
「置いていって迷子になったらまた…面倒くさいからいてやる」
顔を背けたまま中島が言う
「…いてくれるの…?」
ヨシコが中島の肩を揺すって聞いた
「ソレ食い終わったら行くぞ」
そういった中島の耳は少し赤かった