【第八回・弐】お祭り神社
「だぁッ!!; 逃げるな!! たわけッ!!;」
「ヘッタクソだなぁお前;」
金魚すくいの破れたポイを片手に迦楼羅が声を上げると中島がその横で赤い金魚を水に浮かべた茶碗に掬って入れた
「素早いぞ!;」
迦楼羅が怒鳴る
「…つかまるから逃げんのあたりまえじゃん;」
南が上から見下ろして突っ込んだ
「ムキになったら負けよ~? かるらん」
坂田がポフポフと迦楼羅の頭を叩いた
「頭を叩くなッ!! たわけッ!!;」
再び迦楼羅が怒鳴る
「…タカちゃんタカちゃん; 入れたら上げないと…紙…ふやけるぞ?;」
一方水の中にポイを入れたのはいいがそのまま入れっぱなしの制多迦に中島が声をかけると制多迦がヘラリ笑顔を向けた
「…コレ掬ったら何かあるの? 食べられるとか」
中島の掬った茶碗の中の金魚を見て矜羯羅が聞く
「食えん食えん;」
3馬鹿が揃って手を横に振った
「京助はやらないんだっちゃ?」
やいのやいの大騒ぎしながら金魚すくいに夢中になっている軍団を見て緊那羅が京助に聞く
「あ? ああ…やらねぇ」
乾闥婆に渡した綿飴を少しちぎりながら京助が答えた
「ホレ」
そしてソレを緊那羅に渡す
「あ…どうもだっちゃ」
渡された綿飴を緊那羅が受け取る
「掬って持って帰ったら悠助が喜ぶんじゃないんですか?」
乾闥婆が京助に言った
「そりゃな…でも死んだ時悲しむのも悠だろ」
京助が言う
「…そう…ですね」
少し驚いた顔をした後 乾闥婆が小さく言った
「…京助って…」
そんな会話を聞いていた緊那羅が呟く
「…何だよ;」
聞こえたのか京助が緊那羅を見た
作品名:【第八回・弐】お祭り神社 作家名:島原あゆむ