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掌の中の宇宙 1

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「あっネネム君!」
ミッキーは後ろから声をかけたがネネムは振り返ろうとせず、
廊下を走っていき、そのまま玄関のドアに飲み込まれてしまいました。
「あらら・・・参ったな、
着地地点は自力で調節してくださいって言うのわすれてました、
最悪消滅してしまうかも。
ネネムが消滅するとどうなるのですかね?
やっぱり残りの方達も無傷ではないでしょうねぇ~
・・・うわー参った、本当に参ったな・・・」
ミッキーは部屋をうろうろし始めた。
ジミーの視線の先にはネネムのお婆ちゃんの姿があった。
お婆ちゃんは絵の様に、背景に溶け込むように固まっていたが、
ジミーが彼女の肩をがくがくと揺らすと目を突然パチクリと開いて、
首を何度か左右に振ってそして掌を広げて何かを呟いた。
すると掌から蝶が湧いてきて何回か羽をひらひらさせて
・・・そしてまた掌の中に消えていった。
蝶は何処にいったのだろうか?
お婆ちゃんは目を閉じたり開いたりして・・・何かを確かめているようだった


ミッキーは少しひきつった笑いをしていて、ジミーはかなり凹んでいた。
「いやーゴメンなさいね2人とも、
そうねぇ、着地を行うのは多分マヤの仕事だと思うから、ねぇ・・・。
ジミーにマヤを怒らせる様に頼んだのは、その為でもあるのよ。
あの子、ネネムに危険が及ばないと目を覚まさないでしょ?
急に目が醒めると流石に状況の把握が大変かなぁと思ってね、
うん、本当はあんた達にキチンと説明して欲しかったけど、
ボロが出るとまずいのでね、
とりあえずあの子には色んな事情を知らないで
この問題を解決して欲しいのよ、解るでしょ?」
アルソアの言葉にも2人は黙ったままで・・・っといっても其処は経験の差、
ミッキーはこのままの沈黙はアルソアを怒らしてしまうことになりかねないと考えて
「へー」とか「はぁ」とか適当に言葉を繋いでいた。
が・・・ジミー。
「ていうか、ネネムは何処まで事情を知っているのですか?
まるで何も知らないと言う訳でも無いのでしょう?
彼は時間が止まっている事に殆ど驚きませんでしたよ。
彼は解っているのですか?
彼の有している2人・・・マヤに・・・」
ジミーは急に話を始めたが、殺気を感じてアルソアの方を見た。
アルソアの瞳が炎の様に赤色に染まっている、
ミッキーが静かにため息をつく。
「あの子はもう貴方達とは完全に手を切っている状態なのですからね
マヤのことなんぞは露も気にしなかった筈です」
アルソアはジミーの話を遮り穏やかながらも力のある声で言いました。
「いやースイマセン、ジミーはまだ最近この仕事に就いたばかりで
・・・なんせ未だ経験が・・・いや、お許しください。
そうです、マヤの事に関しては本当にこちらの方の事情で
色々とご迷惑をおかけしています、
まあですね、本日はその事をお話に来た訳でもなく、
そんな場合でも無いわけですから・・・。
しかし、何故ネネムにお話にならないのですか?
あなたの正体も秘密にされている、ていうか・・・なんというか・・・
恐らくネネムには力の自覚さえないのでは?
これはどう言う事なのでしょうか?
これはある意味では危険な行為と思われるのですが・・・。」
アルソアの瞳の色は元に戻りつつあった。
「自分の美しさに関心を奪われると美しさを極める事が出来ないのよ。
才能は孤独の中で養われるものです。
貴方ならわかるでしょ?あの子の力が・・・。」
ミッキーはやれやれと肩をすくめた。
今はとりあえずネネムを無事にココに帰らせれば良い、
今はそれを最優先に考えるべきだ、とりあえずそれが一番大切なこと。
「アルソア、それでは私たちは今から何をすればいいのでしょうか?
私達もネネムの後を追った方がよいのでしょうか?」
この問いかけにアルソアは穏やかに微笑んだまま
ゆっくりとお茶に手を伸ばし・・・。
(ネネムにちょっかいを出してきたもの達
この子たちは本当に知らないみたいだし・・・そうなると・・・)
みたいな事を考えていた。
ジミーはなんとなく凹んでいた。
今から始まる事がそれなりに大変な事になるとだんだん理解し始めていたから。
彼は小さくため息をつく

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ミッキーミケラーノ=イスラエル・ローズ(掌の中の宇宙)
作品名:掌の中の宇宙 1 作家名:透明な魚