真夏の逃避行
「リスナーさんから慰めて頂いて、感激です。ウルウル。もうすぐサービスエリアですね。どうしますか?」
「燃料を入れないと……あっ!やばい、スピードが落ちてきた。ハザードをつけよう」
やむなく路肩走行をした。更に減速してきた車が、サービスエリアの入り口で、ついに完全に停止した。二人でスタンドまで押して行くことにした。
「熱射病で倒れたら、責任とってください」
「その前にこっちも倒れそうですよ」
早川ははるかと共に、三百メートルもの距離をTシャツを絞れそうな程、汗をかきながら押した。
スタンドに着くとそこの従業員が、はるかをまじまじと見ている。早川は血相を変え、車の中からバスタオルとTシャツを探し出して彼女に渡した。
「完璧にシースルーです。中のピンクのブラが丸見えですから、これで隠してください」
はるかの水色のワンピースが汗でびっしょりと濡れ、中のピンク色の下着がまる見えだった。
「もうだめ。お嫁に行けない」
はるかは泣きそうな顔になった。
「トイレは、このスタンドにもあると思いますよ」
若い女はトイレの場所を尋いて駆け込んだ。
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