神々と悪魔の宴⑦<悪魔の祈り>
そんな具合に、悪魔たちの献身的な働きにもかかわらず、大戦の終った地上では最後に残った人間達の命までが、風前の灯といった状態であった。
「おい、しっかりしろ!」
先程の悪魔はそれでも懸命に兵士たちに声をかけ、手当てできる場所に連れて行こうとする。
「頑張れ! ほらもう少しで休めるから。ほら、歩いて。ワタシにはもうアナタを抱えて行くだけの力は残っていないのですよ!」
悪魔は天を見上げて拳を突き上げた。
「神よ! お前達は最後までそこで見ているだけなのか?! いつの世においても、お前たちは人間に辛い試練だけを与えて高みの見物だ。だがこの有様を見ろ! 人間はもう滅び去る寸前だ。それではお前達を神と崇める者さえ居なくなってしまうのだぞ!」
悪魔の叫びは、硝煙渦巻く黒い雲の中に虚しく吸い込まれただけだった。
そして崩れるように倒れ込んだ兵士を見つめて震える唇で呟く。
「お願いだ、生き延びてくれよ。アナタ方に滅亡されるとワタシ達悪魔も生きて行く為の糧が……」
おわり
04.12.04
№081
作品名:神々と悪魔の宴⑦<悪魔の祈り> 作家名:郷田三郎(G3)