【第八回】お祭りマンボゥ
「な…」
シュウシュウと白い煙が上がっている物体の下の方にはお供え物とされていたお菓子やら果物やらを両手に持ってポカンとしている3馬鹿
「…どれかがやっぱ効いたみたいだぞ;」
中島が自分の腕の中のお供え物を見て言う
「…どれだろ;」
南が持っていたキュウリを試しに物体に投げつけてみるが軽く跳ね返って地面に落ちただけだった
「どれだ?;」
坂田が手に持っていた塩を物体に向かってぶちまけた
『ギュィイイイイイイ!!』
「うぉおおお!!;」
坂田が塩をかけた部分から白い煙が上がり物体が声を上げた
「…塩?」
南と中島が坂田の手の中にある御輿の時に撒く塩をみた
「…塩…だな」
坂田が呟くと3馬鹿が顔を見合わせた後ニヤッと笑って一斉に物体を見上げた
「いっくぜぇッ!!」
中島が倒された御輿に盛られていた塩がのった皿を手に持ち勢いよく物体に塩を投げつけた
「健全一般中学生をなめんなよッ!!」
南が同じく倒されていた子供御輿の塩が乗った皿を手に持って塩を撒きつけた
「はっかったの塩----------------------ッ!!」
坂田が皿ごと塩を物体に向かって投げた
『ギュギィイイイイ!!』
塩がかけられた部分から大量の白い煙を上げながら物体が悲鳴を上げる
「おおおお!! 効いてる効いてるッ!!」
「でかした!!」
「やれやれ---ッ!!」
意外な活躍をしている3馬鹿に向かって結界内の生徒から歓声と声援が巻き起こった
「あいつら…」
京助が苦笑いで3馬鹿を見た
「京助…」
悠助が京助を呼んだ
「どうした? 祈ったんか?」
京助が悠助を見た
「お賽銭忘れた」
「…;」
眉を下げて言った悠助に京助がポケットから無言で10円玉を取り出し賽銭箱に投げ入れた
「神様ッ!! お願いします………ッ」
真剣に両手を合わせて祈る悠助を見て京助が頭を掻いた後両手を合わせ目を閉じた
「ギャ------------------!!; ソルトショック!!;」
南の声に京助が振り返ると塩を投げつくした3馬鹿が塩の代わりになるような物をお供え物の中から探している
「ばッ…; 逃げろお前等ッ!!;」
京助がまだ祈っていた悠助を抱えて階段を飛び降りた
『ギョ…ユゥ…』
ゴボゴボと物体が再び動き出す
「京助!! まだお祈り終わってないよッ!!」
悠助が足をバタバタさせながら言った
「こっからでも届くッ!!;」
動き出した触手から全力で逃げながら京助が叫んだ
「義兄様ッ!!」
すぐ近くにいた慧喜が京助を追ってきた触手に鉤を振り下ろした
「慧喜!!」
悠助の顔がぱぁっと明るくなった
「サンキュ慧喜;」
京助が慧喜に向かって言う
「何してたんだっちゃッ!! 危ないじゃないっちゃかッ!!;」
緊那羅が京助の隣を走りながら言った
「俺達にできること」
京助がへっと笑いながら答える
「は?;」
緊那羅が疑問系の声を出した
『ド…トキ……ギュィイイイイイ!!』
今までにない大きな声を上げた物体が京助と悠助めがけて覆いかぶさろうとしはじめた
「ッ-------------------------!!;」
京助と悠助を背中に庇いながら緊那羅が武器笛2本を交差させ物体を迎え撃とうとする
「京助ッ!!;」
「悠助----------ッ!!;」
「ラムちゃんッ!! 京助! 悠!!」
もはや誰が誰を呼んだのかわからない声が結界内に飛び交ったその時
パァン!!!!!!!
作品名:【第八回】お祭りマンボゥ 作家名:島原あゆむ