朝露
「ルチアは・・・ルチアはどこにいるの?何かあったの?・・」
アウレリウスは心の底からの不安を感じ、父と母に問いただす。
「ルチアは・・・お前の部屋にいる・・」
父が重い口を開いた。
「アウレリウス・・・」
母が何か話しかけたが、既にアウレリウスは自分の部屋に駆け出している。
アウレリウスが自分の部屋の扉を開くと、ルチアがベッドに横たわっている。
「ルチア・・・」
ルチアは、ひどく痩せて、顔色が悪い。
「どうしたんだい・・ルチア・・・」
「アウレリウス様・・・ローマでの成功おめでとうございます・・
ルチアもうれしく思います。」
ルチアは絶え絶えの声でアウレリウスに話しかける。
「ルチアは・・・」
部屋に母が入ってきた。
「ルチアは、お前がローマに旅立った後、いつもふさぎこんでいて、毎朝涙に眼を腫らした顔で起きてきて、仕事をしていたよ・・」
「最近、そうここ3ヶ月ぐらいは食もかなり細くなり、歩き方もフラフラするようになってしまって・・」
「ルチアは、ローマでのお前の成功は、本当にうれしそうで・・家による様々な商人からお前の話を聞いていたよ・・」
「しかし、ローマでのお前の成功が大きくなるにつれ、ナポリにいつ帰ってくるのかわからないと思うようになり・・
ついには寝込んでしまったのさ・・・」
「私達もルチアは、この上なく愛おしいし、この家に本当に尽くしてくれた。せめてもと思い、お前の部屋で・・お前のベッドで寝るようにと・・・取り計らったのさ・・」
「あとは、この二人に任そうではないか・・・」
父であるマルコが母に言い、部屋の中にはアウレリウスとルチアだけになった。