お下げ髪の少女 後半
「まあ、とにかく書き始めた。しかし、読み手が若いからと云って、迎合したくねえ」
「わかります」
「ただ、読んでもちんぷんかんぷん、てえんじゃ、話にならねえ」
「難解なものなんですね?」
「近鉄も南海も頑張ってるがね。勿論、難しいものは書きたくねえ。誰にでも解かり易く書く。それがおれの信条なんだ」
「いいことです」
「だろう?ただな、問題は読者の心に響くかどうかなんだ。それがなくっちゃ商売にならねえ」
「わかりました。読ませてください」
「やっぱりそうだ。そういう奴だと思ってた。どんどん食って、飲んで、そのあと俺の隠れ家に来てくれ」
時刻は八時半になったばかりだった。
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作品名:お下げ髪の少女 後半 作家名:マナーモード