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お下げ髪の少女 後半

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「何屋だと思ったかなぁ。おれはね、小説書きだよ。随分若そうだが、きみも仲間ではないかと、思った」
 緒方の心には感動に近いものがあった。男はライターの炎でウェイトレスを呼んだ。
「趣味で書いていますけど……」
小説を書く人物に会ったのは、小泉に次いで二人目だった。
「あ、お姉ちゃん。いつも可愛いね。ミックスサンドと水割り二つ、大至急頼むよ。それから、サラダにフライドチキンだ」
 キャバレーと間違えているのではないか。小説家、というイメージではなかった。顔が角ばって、眉が濃い。土建屋の親分という感じかも知れない。緒方はもう一度、失敗した、と思った。
「お兄ちゃん。好きな作家は誰?」
小説家は終始笑顔である。
「日本の、ですか?」
「そうだね。おれは毛頭が苦手なんだ。同じ生活、してないからね。ヘミング・ウェイ以外は、ろくなもんじゃねえ」
緒方は笑った。