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お下げ髪の少女 後半

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「ありがとう。やっぱりいい人です。思っていた通りの人です。邦彦さん」
 木漏れ日が美緒の小さな顔を通過して行く。美緒のワンピースのセルリアンブルーが眩しい。可愛い。いつ見ても、感心してしまう。五月も末が近いのだが、風が爽やかだった。
「美術館のあとは、どこへ行きたいの?」
「外国へ行きたいです。グリンデルワルド」
「残念でした。もう飛行機は行ってしまいました。その代わり、英会話をしましょう」
「多分、邦彦さんはわたしが思った通りのことを云うと思います」
二人は立ち止った。美緒は微笑んでいる。近くで見ると、その瞳の美しさを、改めて実感することができた。緒方はその場で、お下げ髪の少女を抱き締めたかった。
「美緒さんが思った通りのこと云います。I love you」
「I love you too」
 可愛い声が応えた。二人の周りに沢山の鳩が集まっていた。
 それを蹴散らすように、一見して不良高校生といった様子の、二人の少年が接近した。
 鳩たちが空へ逃げた。