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お下げ髪の少女 後半

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 午前十時三十分。細いもので背中を突かれた。振り向くと、美緒が居た。指先でつついたのだろう。
 美緒は泣いている。かなりの泣きかたなので、周囲から注目されている。緒方は美緒の手を取って歩き出した。そんな筈はないのだが、山で星を眺めたときよりも手が小さくなったような気がする。
「ごめんなさい。乗る電車を間違えてしまいました。軽蔑されますね」
 美緒は泣きながら笑った。
「誰でも間違うことはあります。でも、あと五分遅かったら、僕は自殺したかも知れません」
 美緒は右手に力を込めた。緒方も左手で応えた。
 「わたしも、同じことを思いました」
 大きな公園の中に入った。
「せっかくの初デートです。それはもう忘れて、明るく行きましょう。今まで生きて来た中で、一番愉しい日にしましょう」