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趣味人の恋 7 (21~最終章)

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しかし、最後にもう一度だけ、香りに呼び掛けることをお許しください。


【  香り、今日12月9日は君の誕生日やな・・
せめて、誕生日のお祝いくらい、させて欲しかったな・・

君はとうとう僕と一度も会うことはしなかった。

本当は、君も僕に逢いたかったんだと思う・・

けど、僕がどんな男か分かっていて、
「一度だけでも会おうよ」と云う僕の申し入れを
何度も跳ね返した・・

それは病気のこともあったやろ・・・
しかし、それ以上に
僕と君がリアルな恋に落ちることで
僕が家庭を潰すこと、
君を失った後の僕のこと、

みんな香りは『お見通し』やったんやな・・

今思えば、全ては香りの掌の中で
転がされていたのやと思う・・

自分の残された時間を逆算して、
好きな土地、NZに、勤めを終えたその足で向かい、
こうして後のことをこと細かく妹さんに託して・・


恨みごととちゃうで?
感謝してるんや・・・(^_-)-☆

香りと一緒に作った小説『古都・純情物語』も完結した。

けど、下書きのための日記、最後の2話、

「元と香織」の出ていた下り、
あれは読んでほしかった・・(>_<)


それと、最後に香りの声が聞きたかった・・
約束したやないか!
約束違反や・・・・
香りも僕の声が聞きたいって
云うてたやないか・・・・


香り、僕はまだもう少しここに居るわ・・・

けど、何時か香りのもとに行ったら、
『タブーの香り』を手掛かりに、
絶対君を探すからな♪(^_-)-☆

それまで待っててや♪(#^.^#)

香りへ          はじめ より】  』


僕は香り宛てのメールに、【藤の花】の写真を添えた。

香りが大好きな花だった・・・

香りの現在のHNは【藤香】と云う。

香りが大好きだった「藤の花の香り」と云う意味だ。

一旦別れた僕たちが八月にやり直す際に、

『香りの新しいHNはアナタが付けて下さい♪(^_-)-☆』
と云ったからだ。

【藤香】はその名の通り、妖しく美しくこの趣味人倶楽部で

艶やかに香った・・

-----------------------(p.136)-----------------------

香りの薦めで書き始めた小説【古都・純情物語】は、香り存命中に完結出来なかった。
当時もまだ【香り編集長】に目を通して貰いながら掲載していたのだ。
特に最後の2話分は香りに読んで欲しかった・・・

香りに読んで貰いたかった最後の2話とは、12月5日香りと最後の交信を終えた後、僕は【古都・純情物語】の下書きである『マイフレ限定日記』に更新したものだ。

物語の中で主人公の優一と瑛子がライブハウスで楽しむ姿を後ろから微笑ましく見つめる初老の夫婦を描いた。

これこそ僕と香りに重ね合わせて描いたのだった・・・
他の読者には分からなくても、香りだけには分かる下りだ。

【優一達の斜め後ろの席に60過ぎの品の良いカップルが
居て、やはり楽しそうに、演奏に聞き入っていた♪
男性はツイードのジャケットにアスコットタイ♪
女性は紫のタートルネックのニットに、パールのネックレス
とイヤリングをしている♪
「アナタ、前の若い二人、恋人同士かしら♪(*^_^*)」
「ん?・・・ああ、そうだろうな、とっても楽しそうだ♪(^。^)y-.。o○」
「何か微笑ましいわねえ♪(^0_0^)私たちに子供が居たら、
アレ位にはなっているかしら♪^m^」
「う~む、もう20年だからな・・・・もう少し君と出会うのが早
かったら・・・かな?(^_^.)・・」
「アナタがもっと早く私を見つけてくれないからですよ!(+_+)・・」
「おいおい、無理を言うなよ^^;・・・僕たちが知り合った時に
は、もうお互い40を超えていたじゃないか^^;・・」
「私はアナタの子供が産みたかったのォ((+_+))・・・」
「もうその話はよそうって前にも云ったじゃないか^^;・・
僕は君と出会えただけで十分幸せになれたんだから♪
(^。^)y-.。o○」
「本当にそう思ってる?(*^_^*)」
「ああ、勿論さ♪(^^)v  今もあの二人と気持では
負けないよ、香織♪(*^_^*)」
「うふふ♪(*^。^*)ありがとう、元(はじめ)さん♪(^_-)-☆」


  愛に包まれたクリスマスイブだった♪

   (^_-)-☆              】

-----------------------(p.137)-----------------------

僕は香りの妹さんへ、香りの最後の様子を尋ねていた。

『2009年12月9日 9時04分
件名 お尋ねの件について。

姉への呼びかけ、日記など涙無くしては読めまんでした・・
姉はとても幸せな人だと思いました。
必ず姉に語りかけます。

姉の最後の様子につきまして。
12月5日 午後10時すぎにパーティーは終了したそうです。10名位の参加者はニュージーランド人が殆どでしたが
姉は英語を喋り、楽しく時間を過ごしていたとか。

12月6日 昼過ぎ、友達が電話をした時、頭痛と吐き気
を訴え、コンピューターを開いたけれど思うように操作
出来ないと泣き声だったと。

午後6時過ぎに頼まれていた買い物を届けたときは、
すでに意識不明の昏睡状態で、救急車で病院に運ばれましたが、CTの結果、脳内出血が見られ、心臓も弱って
いました。

延命治療拒否の宣言をしていましたので、しばらく
病院に留まり、10時ごろに友達のお家に運ばれました。
意識は戻ることなく5時5分に友達の主治医に死を
言い渡されたそうです。

12月7日、1日友達の家で過ごした遺体は8日 火葬され
ました。

散骨希望であったので、近いうちに氷河湖に撒かれるようです。

お友達は意識不明の姉の枕元に電話とあなた様の
ことを細かく記してあったノートを見つけられた
そうです。
あなた様との約束を果たしたかったのでしょうね。

今日は姉の誕生日。きっとあなた様からの
【Happy Birthday to you] を聞きたかったでしょうに。』


香りは僕との約束を果たそうと必死になって電話を掛けようとしていたのだ・・・

      香り・・・

      香り・・・

      すまなかった・・・

-----------------------(p.138)-----------------------

「2009年12月9日 18時10分
件名 有難うございます。
僕も香りにはたくさんの愛を貰いました。
こんな形だからこそ、僕達は強く愛し合えたのだと思います…

今日、貴女にメールの返信をした後、尼崎まで機械の修理で顧客先に行きました。
修理を昼前に終え、何処かで昼食を、となったとき、尼崎インターの近くに『不二家』が在ったことを思い出しました。

小説にも描きましたが、僕は学生時代、京都の不二家で一年間バイトをしてました。
その事は香りにも言ってあり、当時の話を聞きたがりました。

僕は香りの生前、【誕生日のサプライズ】について考えていました。

花束かケーキを写真に撮ってメールに添えて送ろうかと…