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趣味人の恋 7 (21~最終章)

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「2009年12月6日 9時52分
件名 香り
香り、おはよう♪(^_-)☆チュッ♪
此方は良い天気だよ♪
チュッ♪」

「2009年12月6日 11時53分
件名 香り
香り、どうしたの?
心配やなぁ…(._.)…」

「2009年12月6日 14時18分
件名 香り
香り、(._.)…
チュッ♪(^_-)☆」

「2009年12月6日 15時43分
件名 香り
香り、具合が悪いんだね…(._.)…
大丈夫、僕がついて居るから♪(^_-)☆チュッ♪
明日になれば絶対に♪
チュッ♪
今日はお休み♪(^^ゞ
僕の腕の中でお休み♪
チュッ♪(^_-)☆ 」

「2009年12月6日 22時20分
件名 香り
香り、また明日ね♪(^_-)☆チュッ♪」

 

その後再び、
 
香りからのメールが、僕に届く事は

二度と無かった・・



-----------------------(p.131)-----------------------


===================================================
章タイトル: 第24章  悲報
-----------------------(p.132)-----------------------

翌朝僕のもとに、香りからメールが来た。

しかし、香り本人からでは無かった・・


『2009年12月7日 7時15分
件名 悲報

わたくしは【香り】の妹のIと申します。

ニュージーランドがら今朝悲しい知らせが届きました。

向こうの時間、午前5時5分に姉は逝ってしまいました。

生前、何か起こった時にはまず、あなた様にお知らせをするように言われておりました。

今日ははからずも10月に亡くなった父の49日に当たります。

遺稿がありますので、数日中に書き込みます。

本日はとりあえず、お知らせまで。

お気を落とされませんように。

苦しむことなく静かな最後だったとのことです。』







僕はただ呆然とモニターの文字を目で追った・・

(・・・・・・香りが・・・・・・・・・・・)


僕はその一報をいつものように事務所のPCで見た。

呆然と見つめていた・・

-----------------------(p.133)-----------------------

(・・・まさか・・・)と云う気持ちと、
(・・・やはり・・・)と云う覚悟が

僕の頭の中で ぐるぐる と回った・・・

いつか、香りに聞いた【寿命】では、
『今年の「行く年来る年」が見られるかどうか・・・』

そう言っていた彼女の言葉からは、
少し早いような気もしたが、
多分10月の中旬以降彼女の体力は確実に失われていたに違いない・・・

毎朝交わす、【おはよう♪(^_-)-☆チュツ♪】顔文字入りの楽しげな挨拶では、その時の彼女の現実なんか僕はこれっぽっちも感じとってあげることは出来なかった・・・

僕は底なしの無力感を感じながらも、彼女の妹さんへのメール書いた。

「2009年12月7日 8時24分

お知らせ頂いて恐縮です。

貴女には辛い役回りをさせてしまいました・・
何時か、こんな日が来ることは覚悟していましたが、あまりに突然で今はただ、呆然とするだけで、正直実感が湧きません・・

香り(僕はここでお姉さんをそう呼んでいました)とは
土曜日の昼までメールしていました。

4時間の時差ですからNZは午後4時ごろだったと思います。
クインズタウン第2日目で、夕方にお世話になっている友人宅でバーベキューパーティーに呼ばれているとのことでした。

それが彼女との最後の交信になってしまいました・・

昨日一日、彼女からのメールは無く、やはり具合が悪いのだろうとは感じていましたが・・

無念です・・・

貴女にもお父様の後、つづけさまに辛い思いをさせて、かける言葉もありません。
貴女こそ、お気を落とされるこのの無いよう、願います。

有難うございました。」


その日僕は一体どんな気持ちでいたのだろう?
ただボーっとしていたように思う・・・

仕事で掛って来た電話には【卒なく】対応していたように思うが・・・
そしてその自分の姿を何処か別の角度から冷ややかに眺めていた、もう一人の自分が居たような気がする。
まるで実感が湧かなかったと言うのが本音だろう・・

繰り返し繰り返し、香りと交わしたメールを遡って読んでいたような気がする。

しかし読めば読むほど、つい2日前まで普通に会話していた香りの姿が目に浮かんだ・・

まだ一度も目にした事のない香りの姿を・・


-----------------------(p.134)-----------------------

僕は何も出来ないでいた・・

ただ、僕は香りの死をみかんさんにだけは伝えねばと思い、
【マイフレ申請】を利用したミニメを送った。



「2009年12月7日 21時04分
件名 マイフレンド申請ありがとうございました
朝1度PC開けてから今帰宅するまでPC見ていませんでした。

私は何も聞いていませんでした。

何だか言葉が出てきません。

はじめさん!教えてくれてありがとうございました。

もう2度とわーちゃんとお話できないんですね!」


「2009年12月8日 7時36分
件名 おはようございます。
わーちゃんは本当にもういないのでしょうか・・・?

私のマイフレさん限定日記の「Kちゃんを探して」パート2と3はわーちゃんに教えてほしいと言われ書いたものです。

わーちゃんのコメントがたくさん残っています。」


彼女にとっての香りは、何でも話せる姉だった。
僕は香りに【死期】の事をみかんさんに告げることを口止めされていた・・
それを突然告げられたみかんさんが信じられないのも無理は無かった。


僕だって信じられないのだから・・・


翌日、香りの『遺言』によって
香りの部屋の日記が更新された。

-----------------------(p.135)-----------------------

「 【藤香のお気に入り・最終回】

皆様のあたたかいご声援を頂きました「お気に入り」は
最終回を迎えてしまいました。

姉、藤香は12月7日、ニュージーランドで神に召されました。

この最終回は私に課せられた姉の意思をお伝えする悲しい
ものですが、今姉の魂は翼をもらいすべての苦しみや悲しみ
から開放されて、大空に羽ばたいていることでしょう。

皆様、本当にありがとうございました。(藤香の妹 記)」


http://www.youtube.com/watch?v=XNmzKikXZyY


2009年12月08日 09時01分 [ 閲覧数 108 ]



      最後に選ばれた曲は

   【WING TO FLY(翼をください) 】だった。

   
    香り、君は翼を得て

    今、大空を駆けているのか?



僕はその日、主(あるじ)の居なくなった香りの部屋にミニメを入れた。

『もうこの世に香りが居ないことは分かっています・・