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ef (エフ)
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趣味人の恋 4 (12~14章)

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ただただ、彼女の心を掴みたいと、【愛の言葉】を連呼し、その片側では香り以外の友人達との会話を楽しんでいる…

そしてまた、パソコンを離れた【現実の世界】では『仕事熱心で真面目な夫』として、何食わぬ顔で生活していた…




       (最低やな………僕・・・(-_-;))

-----------------------(p.57)-----------------------

香りが僕の前から忽然と消えて3日後、
僕の携帯にメールが入った。

香りからだった・・・

「許して下さい。こうするしか方法が無かったのです・・
趣味人倶楽部での貴方を取り巻く環境から逃げ出したくて・・・」

「香り、何も分かってあげられなくごめんな・・
あんな、そのこと『みかんさん』から聞いたで・・
だから、えい吉とは別の部屋を作ったから。
『えいた』って云うねん。
だからそこでこれからは香りと二人だけで・・な?」

「そんな・・・二人だけの部屋にすることは・・不可能だと思います・・」

僕は今一つ合点がいかない香りを何とか説き伏せ、
香りを再び趣味人倶楽部に入会させて、
『えいた』とマイフレになった。

HNは『香りさん』だった・・
【えいた】の部屋で香りとだけ交信すれば全て上手く行くと考えた僕は浅はかだった(-_-;)…

【えい吉】の部屋をそのままに【えいた】の部屋で香りとだけ交信しようと言う手前勝手な考えは香りには通じなかった…

最初は控え目だった香りも、一週間もしないうちに【えい吉】の部屋に足跡を残し始めた…

交信の端々に【皮肉】も混じり始める…

『暫く休むか(--;)…』

僕はそう考えた。

突然『失踪』するように消えることはしたくなかったので、
プロフに『この度考える所もあり、近々お休みさせて頂きますm(__)m』と載せた。

ところが『休みます』と宣言しても、
ついつい【えい吉】の部屋を覗いてしまう(((^^;)…

すると決まって【香り】の足跡が…(T_T)…

僕は彼女に監視されてるように感じた。


そして僕達はとうとう衝突してしまった…


『やはり、貴方とはお別れします。』

『ああ、仕方ないね。サヨナラ…』

『えい吉さん、さよなら。今生の別れです…』


僕は『えい吉』も『えいた』も同時に退会した。

確か八月の初旬だった…

折しも、この少し前より、この趣味人倶楽部では会員を装った【アダルト系営業】の伝言が蔓延し
同じアドレスでの再入会出来なくなっていた…

-----------------------(p.58)-----------------------

【別れのサンバ】
                     作:長谷川きよし


       なんにも 思わず

       涙も  流さず・・

       あなたの  残した

       グラスを 見つめて独り・・

       みんな  分かって

       いたはずなのに・・・

       心の 奥の さみしさを

       分かって  あげれば

       別れも 知らずにすんだの・・

      


       きっと わたしを

       強く 抱く時も

       あなたは 独り さびしかったのね・・

       

       あなたの  愛した

       この 髪さえ

       今は 泣いてる

       今は 泣いてる

       今は 泣いてる・・・・

-----------------------(p.59)-----------------------


===================================================
章タイトル: 第13章  強情
-----------------------(p.60)-----------------------

 僕は【趣味人倶楽部】から完全に退会した。

『えい吉』も『えいた』も、その痕跡を完全に消したのだ・・

翌朝から以前の退屈な朝に戻った。

仕事はあの頃から見れば、多少は回復していたが、

昨年の『目の回るような忙しさ』から見れば

程遠かった・・

もう少しで成約に至る案件も幾つかあったが、

工場が活気を帯びるのには、まだまだ時間が

掛りそうだ。

そして気がかりだった・・・・

『趣味人倶楽部』が・・

否、香りの事が・・・・

(少し、感情的になってしもたな(・_・;)・・・・・・・・・)

あの時僕は、『香り、いっぺん、実際に逢おう?逢って話ししよ?』と云った。

しかし・・・・

『それは出来ません!私はアナタに逢ってしまったら自制する自信がありません。』

香りはそう云った。

(・・・・(ーー゛)なんやそれ?束縛するのに実際には逢えへんやなんて、都合良すぎるやんけ・・・)

僕はそう思ったのだ・・

後は、成るようになったと云うべきか・・・



それともう一つ、気になっていた。

香りの最後の言葉が・・・

『えい吉さん、さよなら。今生の別れです・・』

(『今生の別れ』って、エライ大げさな・・・しかし・・・・
もしかして・・・・(>_<)・・・)


香りが『情の強い(こわい)女』であることは付き合ううちに
知っていた・・・
彼女自身、『過去に、相手を強く思いすぎるが故に、ダメになったこともありました・・』と云っていた。

(まさか・・・・・・・(>_<)・・・・・)


-----------------------(p.61)-----------------------

(まさか・・・・・・・(>_<)・・・・・)

僕は香りの身が心配になってきた・・
前にも云ったように当時の趣味人では、風俗業界のサイトへのアクセス誘導目的で女性の個人名を騙った業者からの伝言が、男性会員のもとに機関銃のように寄せられた。

その度に【通報】されて退会するものの、HNを変えて容易に再入会出来た。
正に【イタチゴッコ】だ。

その為、暫くして『同じアドレス』では再入会することが出来なくなった。

僕のアドレスは仕事でも使っている。
だから変更は無理だ・・
(後から知った話では別のアドレスを持つことも可能だったが・・)

(香りはあの後、どないしたやろ?・・・・・・・
香りも退会してしもたんやろな・・・・それとも?・・・・・・)

趣味人に再入会しなくても香りとアクセスする方法は
残っている・・

彼女のPCアドレスはパソコンにも携帯にも残っている・・

実際にほんの十日前、香りが突然退会した時にアクセスしているし・・・

尤も、彼女がアドレスを変えていなければだが・・・

僕は迷った・・・・・
この半年余り、僕の朝は香りと交わす朝の挨拶が【習慣】となっていた・・

-----------------------(p.62)-----------------------

この半年余り、僕の朝は香りと交わす朝の挨拶が【習慣】となっていた・・

『香り、おはよう♪(^_-)-☆チュツ♪』