サイボーグさっちゃん
さっちゃんは、お母さんがいっていたことを思い出しました。
「あぶなくなったら、大きな声を出すのよ」ということでした。
さっちゃんは大きな声で
「だれか来てくださーい。ゆうかいでーす」
男がまよっているようすで、あたりを見わたしてからドアのロックをはずしました。
さっちゃんはドアをひっぱっていたので、ドアが開いたしゅんかんに、後ろへたおれてしましました。そこへわかなちゃんが重なるようにたおれてきました。
さっちゃんが起きあがったときには、車は走りさっていました。わかなちゃんはまだ泣いています。
ピコピコと音がして、さっちゃんのベルトのまん中が光っています。
「あ、力をつかいすぎて、電池がなくなったんだわ」
「電池をかえなくちゃ」とつぶやきながら、ランドセルをみると、さっきころんだひょうしに中のものがほ道ろにちらかっています。
「ありゃあ、たいへん」
さっちゃんは、教科書や、ペンシルケースをランドセルにもどしながら、電池をさがしました。だけど見あたりません。
ピコピコ音がなりつづけています。わかなちゃんはまだ泣いています。
ピコピコ、エーン、えーん、ピコピコ、グスン、グスン。
さっちゃんも泣きたいくらいです。電池が見つかりません。だんだん元気がなくなってきました。
どうろを見ても、ランドセルの中にも電池はありませんでした。
「走ったときに、おっことしてしまったのかしら」
ピコピコピー、ピコピコピー、ベルトからでる音がかわってきました。
「早く、とりかえなくては」
さっちゃんは、あせってきました。
作品名:サイボーグさっちゃん 作家名:伊達梁川