古都・純情物語2(5~10章)
で、まあ今日はタマタマ、スケジュールが空いております が、お譲さん、よろしかったら如何でしょうか♪(^_^)v」
「はい♪喜んで♪(#^.^#)」
二人は協議の結果、まだ少し紅葉には早いと思ったが、
高雄ドライブウエーに行き先を決めた♪(^_-)-☆
優一と瑛子を乗せた白いブルーバードは、
五条通りを西に行き、天神側通りを北上する。
宇多野の竹林を過ぎて、北山杉の立派な床柱を
縦に並べた材木店の並ぶ道を山手に入ると、
もうそこは高雄の入り口にあたる。
やはり街中と違い、車窓から吹き込む風は冷たい。
「瑛子ちゃん、寒ない?」
「うん、大丈夫♪(#^.^#)気持ちイイ位♪」
優一の車は父親のもので、カセットテープは付いている
ものの、当時はまだ8トラックのカーステレオが主流で、
それも「ド演歌」ばかりだった(-_-)/~~~ピシー!ピシー!・・
かろうじてFMラジオのチューナーは付いていて、
FM大阪から流れる流行のフォークソング・ポップスが
ふたりの耳を楽しませた♪
しかしそれも、山手に入ると電波状態が悪くなり、AM放送、
それも地元の「近畿放送」が何とか入る程度になった。
山道をしばらく行くと、両側に人家や店が現われてくる。
道路わきの看板に「神護寺」とある。
ここも紅葉が有名な古刹だ。
優一はその看板の指す脇道に左折し、曲がりくねった道を
走らせ、ほぼ行き止まりの駐車場に車を停めた。
二人は車を降りて清滝川沿いを歩き、参道の石段を
登り始めた♪
「瑛子ちゃん、ここからは歩きや♪結構きつい石段やで♪
(^。^)y-.。o○」
「ホンマ?しんどなったら林君におんぶしてもらうし♪
(#^.^#)」
「・・・(T_T)・・おんぶ・・・・つぶれる・・・(+o+)・・」
「ん、もォ~~!私、そんな重ないよォ~!(ーー゛)」
「あはは、冗談♪冗談♪(^_-)-☆」
「もォ~♪うふふ♪(#^.^#)」
清流の清滝川は、透き通るように水も澄み、
冷たい程に感じる・・
実際車内にいた時より、気温は下がっていただろう。
しかし、参道の石段を登り始めた二人は逆に、
薄ら汗ばむほどになってきた。
「エイコラ・・・エイコラ・・・エイコだよ♪(#^.^#)」」
「プッ♪ナニそれ~♪^m^」
つづれ織りの参道を一折れ、二折れすると、参道は平坦に
なり、拓けてきた。
「あ、ここ?」
「残念で~した!ホレ、これが神護寺の山門!」
一足先に進んだ優一が瑛子を振り返り指差した。
瑛子は優一の傍まで駆け寄り、指差す先を見ると、
100mほどつづく石段と、その頂上には左右に不動明王が守る、巨大な神護寺の山門がそびえていた。
「うわあ~~♪おっきい~♪(*^。^*)」
瑛子の眼が輝いている♪
優一はここに来て良かったと思った♪
山門を入り、境内を散策する♪
まだ、紅葉には少し早いが、品種によっては
赤く色づいたモミジもある。
本格的なシーズンではないにしろ、結構な数の
観光客も訪れている。
優一は瑛子を境内端の展望台に誘った。
ここからは水尾の里の山々を見渡すことができる。
水尾の山々は
モミジに限らず、漆・ブナ・クヌギの広葉樹が多く、
赤や黄色に色づき始めている。
山頂に開けた展望台には土産物やが店を開いている。
そこで優一は、土色の小さな皿を買ってきた。
「瑛子ちゃん、これ『カワラケ』って云うねん。
あそこに鉄のワッカがあるやろ?あのワッカに
このカワラケを投げ入れられたら、願い事が叶うんやで♪」
展望台の柵から10m程離れた所に直径1m程の輪が
鉄棒の先に掲げられていた。
その輪の中に、カワラケを通すのだ。
「うあ~~、ホンマ?やりたい~♪(#^.^#)」
優一は4枚のカワラケの2枚を瑛子に渡した。
「あんな、こうやって、人差指と親指の間にお皿をさかさま
に伏せて持つねん。そいで、手首を効かせて・・・・・えい!」
優一の右手から放たれたカワラケはシュルシュルシュルと
糸を引くように、鉄の輪めがけて飛んで行った!
(^_-)-☆
優一の放ったカワラケは鉄輪の寸前で失速して外れた…
(-_-;)
『あ、優一君、惜しい~!(ToT)』
『今度こそは!(--;)』
優一が放った二枚目のカワラケは…
前よりもっと外れた…( ̄▽ ̄;)
『瑛子ちゃん、頑張って!(^_-)☆』
『よ~し♪(*^^*)』
瑛子は慎重に狙いを定め…
『えい!(*^o^)/~~~』
瑛子の放ったカワラケは、
ヘナヘナと見当違いの方向に落ちた…(-_-;)ジシン、アッタノニ…
次に投げたカワラケはやはり見当違いの方向に落ちた…
(ToT)…
顔色の変わった瑛子は、つかつかと売店に行き、
新たに自分でカワラケを購入した。
そして、優一の存在を忘れたように、カワラケを投げ続け
た!(--;)…
結果は似たようなものだったが…
(( ̄▽ ̄;)結構、ムキになるコやな…)と優一は思った。
神護寺を離れる頃にはもう夕方5時を過ぎていた。
『瑛子ちゃん、今日は何時までに帰ったら良いの?』
車を走らせながら優一が聞く。
『私、9時が門限やの(+_+)…』
『ん~、そしたら宝ヶ池のライヴハウス行こか?8時過ぎに
店出たら、9時には十分間に合うわ♪(^_-)☆』
『ライヴハウス?わぁ~♪行きた~い♪(*^o^)/)
どんな音楽?』
『ホンキートンクって言う、カントリーの演奏やってる店♪』
『へぇ♪楽しみ~♪(*^。^*)』
【ホンキートンク】は、岩倉の宝ヶ池の入り口にあって、
西部劇に出てくるようなカントリーハウス風の造りをしてる。
建物の脇には、柵で仕切られた丸い馬場もあり、
実際乗馬教室も開かれていた。
当時、京都の音楽シーンは、70年安保の前後、
学生運動華やかりし頃に、フォークル・岡林信康・杉田二郎
を輩出した【京都フォーク創成期】から較べれば、
時は井上陽水・荒井由美らの【ニューミュージック】に
押され、勢いは無かった。
ただ、学生の多い街故に、小さなムーブメントは絶えず起こ
っていた。
『カントリー』もその一つで、米国ナッシュビル発信の
王道カントリー、或はフィドルを演奏に加え、アイリッシュ風
の『ブルーグラス』なども台頭していた。
京都ではナターシャセブン・諸口あきら等が本拠地として
活動していた為、より地域的ムーブメントが有ったのかも
知れない。
♪
優一と瑛子が店に入ると、丁度今日一度目の演奏が
始まる時だった♪
二人は早めの夕食を摂るため、ここのお薦め料理
【ジャンバラヤ】を注文した♪
まさか【洋風おじや】とは知らなかったが(((^^;)…
それでも楽しかった♪
コロコロ笑う瑛子♪
冗談ばかりの優一♪
他に何も要らなかった♪
(*^^)v
二人は予定通りに、8時過ぎに店を出た。
作品名:古都・純情物語2(5~10章) 作家名:ef (エフ)