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CROSS 第14話 『挨拶まわり』

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第3章 ?の工場



 『チルノ食品』は、この大きな湖の畔にあった。オフィスビルと
食品工場とに分かれていて、どちらの建物もカマクラの形をしてい
た。工場の煙突からは白い煙が出ていて、工場から出た調理油など
の廃液は湖に垂れ流しになっていた……。
 オート三輪は門をくぐって、工場の敷地内に入った。作業服姿の
妖精が飛んで行き来しており、工場は稼働中のようだった。フォー
クリフトが運搬している小型コンテナには、『大日本帝国連邦陸軍
行き』と書かれていた。その小型コンテナは、ボンネット型の大き
な冷凍トラックの中に乗せられた。
「次買うときは、あれぐらい大きいトラックにするつもりなんだ」
霖之助がそのトラックを指さして言った。

 オート三輪は、搬入口のところで止まった。
「ちょっとぼくは、納入手続きをしてくるから、そこにある2つの
 うちの1つの荷物を持っていってくれるかい?」
「いいですけど」
「じゃあ頼んだよ。冷凍倉庫はすぐそこだから」
霖之助はそう言うと、オート三輪から降りて、どこかに行ってしま
った。
 少佐は荷台で立ち上がって、1つのダンボール箱の荷物を手にし
た。
「……お、おも」
少佐は重そうにダンボール箱を持ちながら、荷台から降りた。降り
たところにあった水たまりで転びそうになった。荷台から降りた少
佐は辺りを見回して、霖之助が言っていた冷凍倉庫を指さした。奥
の壁に冷凍倉庫の場所を示した張り紙があった。
 少佐は重いダンボールに息を切らしながら、冷凍倉庫に向かった。
少佐は私服で、通路で何人かの妖精従業員とすれ違ったが、誰一人、
少佐を気にする者はいなかった。ただ、妖精に慣れていない少佐は、
妖精が通り過ぎるたびに一人びびっていた……。

 そして、冷凍倉庫についた。冷凍倉庫の重い扉を開けて中に入っ
て、両手が塞がっているので足でドアを閉めた。すると、とても強
い冷気が少佐を覆った。
「寒いな」
少佐はダンボール箱を持って歩きながら、倉庫内の空いている場所
を探した。
 なんとか空いている場所を見つけると、ダンボール箱を持ち上げ
て、そこに押し込んだ。
「さぁ、戻るか」
少佐は白い息を吐きながらそう言うと、冷気倉庫から出るために、
体の向きを変えようとした。

 しかし、体の向きは変わらなかった……。
「え?」
少佐は足元を見た。

 さっきの水たまりの水が靴の裏に残っていたようで、その水が凍
って、靴と冷凍倉庫の床とをくっつけてしまったようなのだ……。