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CROSS 第14話 『挨拶まわり』

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「そういえば、この人はお嬢様が吸血鬼であることを知らなかった
 ようですよ」
咲夜がレミリアのカップに紅茶を注ぎながらそう言った。
「あら、まだ言ってなかったかしら」
「はい」
少佐はおそるおそるそう言った。
「さっき、お嬢様が吸血鬼だと知ってびびっていましたよ」
咲夜はクスッと笑った。
「……これが風評被害って奴かしら。私は、吸血鬼の島をつくった
 り、飛行船で襲撃するような悪い吸血鬼じゃないわよ。あんな
 馬鹿どもといっしょにしないでよ!!!」
レミリアは少佐を睨んだ……。
「ご、ごめんなさい!!!」
少佐はたじろいだ……。
「……まぁ、いいわ。言い忘れた私も悪いし」
レミリアはそう言うと、咲夜が注いでくれた紅茶を飲んだ。
「喜びなさい。もう1つ、御祝いの品があるの」
「それはそれは」
「今日はそれに乗って帰りなさい」
「すると、車ですか?」
「それもベンツよ」
「ありがとうございます!!!」
「咲夜、案内してやって」
レミリアは咲夜にそう言った。
「はい」
「それじゃあ、また今度ね。私は忙しいから」
「……そうですか。それでは失礼します。本当にありがとうござい
 ました!!!」
少佐はまた頭を下げた。
「はいはい」
レミリアはそう言うと、またどこかと電話を始めた……。



「この車で、これがカギです」
咲夜にガレージへと連れてこられた少佐は、目の前にある車を見た。
古いデザインのベンツだったが、新車のようだった。
 少佐はカギを受け取ると、さっそくベンツに乗りこんで、エンジ
ンをかけた。そのとき、咲夜が運転席のウィンドウをノックした。
少佐はウィンドウを開けた。
「……波瀾万丈な人生になることは間違いないけど、その覚悟はで
 きてますよね?」
咲夜は真面目な口調でそう言った。少佐は少し考えた後で、
「運命だと思って頑張りますよ」
「……そうですか」
「それでは、失礼します」
少佐がそう言うと、咲夜はガレージのシャッターを上げた。夜空に
満月が浮かんでいた。