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CROSS 第14話 『挨拶まわり』

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第4章 吸血鬼の館



 オート三輪は屋敷の裏にある勝手口(?)の前で止まった。少佐
は、ダンボール箱と自分の荷物を持って荷台から降りた。
「あとは僕がやっておくからいいよ。もうお嬢様が起きて、君を待
 っているかもしれないよ」
霖之助はそう言うと、少佐からダンボール箱を受け取った。
「レミリア・スカーレットさんは、夜型の人なんですね」
「!?」
少佐がさりげなく言った言葉に霖之助は驚いていた……。
「なんか変なことを言いましたか?」
「……もしかして君は、あのお嬢様が吸血鬼だって知らないの?」



 少なくとも、レミリア・スカーレットが吸血鬼であることは、こ
の小説を読んでいるたいていの人は知っていることだろうが、少佐
たちの世界は他の世界なので、そんなことは知らない……。
 もう気づいている読者もいるだろうが、私たちが知っている漫画
やアニメなどのフィクションの存在を、758号世界だけでなく、
異次元中の世界が知らないはずだ……。だから、「私、あなたのフ
ァンなの!!!」などと、イケメンキャラに女性ファンが群がった
り、変な男が美少女キャラを襲ったりすることはない……。名前も
顔など知らない状態から始まる。なので、違う世界のキャラクター
同士が結婚したり、戦ったりすることが起きる。
 ただ、一部の特殊な人物はそのことに気づいている様子だ。それ
に、なぜだが知らないが、本来の物語の設定などが完全に「崩壊」
したり、物語自体が集結した世界のことは、自然に少佐たちの世界
に登場するようなのだ。物語がいろんな意味で終われば公開すると
いうのが「異次元の意志」なのだろうか……。



 そのときになって少佐は、自分がこれから会う人が吸血鬼である
ことを知った。彼は頭を抱えこんだ……。
「まるで、不思議の国のアリスになったような気分ですよ。化け猫
 に日傘を持った女、妖精に天狗、そして、お次は吸血鬼ですよ!
 !!」
少佐は狂ったように叫んで言った。
「……僕も半分人間じゃないよ」
「はい!?」
「僕は半分妖怪なんだよ」
「…………」
少佐は唖然としていた……。