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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第七回・禄】祭男爵奇談

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「あれって…ラムちゃんだよね」
理科の教科書とペンケースを持った本間が廊下の窓から外を見て呟いた
「え?」
同じく理科の教科書を持った阿部が本間の声に反応して返事をした
「ほら、あそこ…非常階段のところ」
本間が指差すと阿部が窓に近づいた
「あ…うん…ラムちゃん…だよね?」
窓の鍵を開けて窓を開けた阿部が緊那羅に向けて軽く手を振った
「あ…阿部さん?」
それに気づいた緊那羅が手を振り返す
「どうしたのー?」
緊那羅だと確認した阿部が今度は大声で聞く
「弁当届けにきたんだっちゃー!」
緊那羅が手に持った袋を指差して言った
「…京助にー?」
何か一瞬止まった後阿部が再び緊那羅に聞き返した
「そうだっちゃ!!」
そう言って笑った緊那羅に阿部が複雑そうな顔をして教室の方を見た
「…待っててー!!」
そして緊那羅に一言そう言うと窓から顔を引っ込めた
「京助、ラムちゃん来てるよ?」
教室の中で案の定空腹でヘタレていた京助に阿部が声をかけた
「あ~…? ……緊那羅?」
やる気なさそうに顔を上げた京助が頭を掻きながらしばらく黙り込む
「…緊那羅が来てるってことは弁当じゃないのか?」
坂田が机の中から理科の教科書をペシっと机の上に出して言う
「……!! どこに!?」
坂田のその一言で覚醒したのか京助がいきなり立ち上がった
「非常階段に…」
阿部が言うと椅子を勢いよく倒して京助が猛ダッシュで教室から出て行く
「…空腹は盲目…っと」
坂田も立ち上がると教科書を丸めて持ちのらりくらりと京助の後を追って教室を出た
しばらくして非常階段の緊那羅の元に京助がたどり着いて何やら話しているのを阿部が窓からじっと見ていた
「…怪しいよアンタ」
本間が阿部の尻を叩いて言う
「次!! 理科ッ! 」
阿部が無駄に大声で言う
「そうだけど? だから教科書持ってきてるんじゃない」
それに本間が淡々と返す
「行くよ! 理科室ッ!!」
眉を吊り上げてまたも無駄に大きな声で言った阿部が大股で歩き出した
「…ハイハイ」
本間が溜息をついて阿部の後ろを追いかけた