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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第七回・禄】祭男爵奇談

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窓が少しだけ開いた室内は物抜けのカラでTシャツと短パンが敷きっぱなしの布団の上に脱ぎ散らかされていた
「…京助?」
顔だけを室内に入れた緊那羅が部屋をぐるりと見渡して部屋の主の名前を呼んだ
「…まだ七時前なのに…トイレでもいったんだっちゃ?」
緊那羅は呟くと戸を閉めた
「おはようございますだっちゃ」
洗面所に入ろうとしていた母ハルミに緊那羅が声をかけた
「あら おはよう」
今から顔を洗うのか母ハルミの手にはタオルがあり前髪がターバンで上げられていた
「そうそう緊ちゃんにお願いがあるの」
母ハルミが洗濯機の上にタオルを置いて歯ブラシを手に取った
「何だっちゃ?」
緊那羅が聞く
「後で京助にお弁当届けてくれないかしら」
クリアクリーンを歯ブラシにつけながら母ハルミが言う
「届ける…?」
緊那羅が首をかしげた
「そうなの。今日から朝の練習もあるらしくてもう出ちゃったのよ~…お弁当忘れて」
母ハルミが苦笑いで言った
「朝も…練習あるんだっちゃ?;」
緊那羅が聞く
「もう来週だからねお祭り…ココの境内でも踊ってくれれば盛り上がるんだろうけど狭いでしょ? 本殿の前の境内と港と…8箇所くらいで踊るらしいんだけど皆楽しみにしてるから先生も気合はいってるんじゃないかしら」
そう言って母ハルミが歯ブラシを口に入れた

「何だか朝の義兄様と緊那羅のあのやり取りがないと変」
悠助を見送った慧喜が玄関先で座ったまま緊那羅を見て言った
「『京助~! 弁当忘れてるっちゃ~!!』『サンキュー!!』っての…」
慧喜が得意の声変えをわざわざ披露して緊那羅と京助のやりとりを真似た
「そんなわざわざ声変えてやらなくても;」
玄関を掃いていた緊那羅が苦笑いをして言う
「だっていつも聞いてたのに無いと本当変」
慧喜が伸びをして言った
「祭りが終わればまたはじまるんだやな」
トテトテと犬が歩いてきて緊那羅の横を通った
「開けて欲しいんだやな」
コマも歩いてきて玄関に下りる
「散歩だっちゃ?」
緊那羅が戸を開けてやると二人 (二匹?)揃って外へと出て行った
「…調子狂った」
慧喜がだら~っと寝そべった
「慧喜…; 下着見えてるっちゃ;」
緊那羅が溜息混じりに言う
「もう少ししたら弁当届けにいくっちゃけど…」
「俺行かない~…」
緊那羅の言葉を最後まで聞かずに慧喜が答えた