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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第七回・禄】祭男爵奇談

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「…楽しそうだね」
本間が買い物袋の中に食べ終わったアイスの容器を捨てながら阿部に言う
「…だから何よ」
むすっとして阿部がいっぱいになった袋の口を縛る
「せっかく応援ボランティアになったのにね」
本間も袋の口を縛った
「…いいのッ!!」
阿部が力いっぱい二回目の結び目を作った

「ハイ! 休憩終わり!! 八時まで通してやるからね!」
その声で男子が腰を上げて体育館の中央に集まりだす
「ハイ~いってきますか」
中島と坂田も体育館中央へと向かい歩き出した
「八時ってことは後15分か~…その後反省会あるとして帰るの九時くらいか…先帰ってていいぞ?」
京助が緊那羅に言う
「私は待ってるっちゃ」
緊那羅が笑って言う
「僕も~!!」
「じゃ俺も」
悠助が元気よく言うと慧喜が笑って同意する
「ヘイヘイ…;」
京助は呆れ顔で悠助の頭を撫でると南と共に小走りで体育館の中央へと向かった

体育館の前方に取り付けられているスピーカーから聞こえ始めたのは笛の音
そしてソレがだんだん大きくなるとあわせて足踏みの音がしてくる
「きたきたきたんだやな~!」
コマが身震いをした
「これこれ! これなんだやなッ!」
イヌも同じく身震いする
笛の音に太鼓の音や三味線の音が混じり曲となって聞こえ始めた頃男子生徒の顔つきが変わった
「ソイヤ!!」
一人の男子の掛け声と共に一斉に鳴子を前に突き出すとソレと共にダン!という足踏みの音が揃って体育館中に響き渡る
たまに入る合いの手の掛け声とスピーカーから流れてくるよく響く男性の歌声に合わせて鳴子が鳴り足踏みの音が響く
激しく動き切れのあるその踊りは不思議な魅力がある
「…義兄様格好いい…」
慧喜がボソッと言った
「でしょ~?」
悠助も興奮しているらしく体が【ソーランソーラン!!】という掛け声にあわせて動き始めている
「我慢の限界なんだやな!」
コマがそういってバック宙をしゼンへと姿を変えた
「ゴもなんだやな!!」
それに続いてイヌもゴへと姿を変える
カチャカチャという鳴子の音が軽快な手拍子にも聞こえさらに場の雰囲気を盛り上げているようにも感じられる
腰を落とし地引網を引っ張り上げる様子を表した踊りから魚を網からはずし陸へと揚げる踊りに変わりそれが今度は日本海の荒波を表現した踊りへと変わる
「…すごいっちゃ…」
緊那羅が呆然とした顔で呟いた
「コレだからいいんだやな!」
曲にあわせてゴが踊る
「最高なんだやな!!」
ゼンも踊る
「僕の次の【どっこいしょ】ってところの踊りがすきなんだ~!!」
悠助が慧喜の腕の中体を動かす
「ソイヤ!!」
今度は男子生徒全員の掛け声が響き揃って腰を落とし飛び上がり腕を前で組んで真横に鳴子を突き出す
「これこれ~!!」
それを見た悠助が嬉しそうに言った
「阿部」
本間が阿部の頬をつついた
「…顔赤い上に視線の先変わってないよ」
ハッとして阿部が本間を見る
「な…;」
「しかし不思議だよねぇ…いつもはお馬鹿な男子がこうも格好よく見えるもんなんだね」
阿部より少し背の低い女子生徒が呟いた
「本当不思議だよねぇ…」
ステージに腰掛けていた女子も言った
「これぞヨサコイマジックなんじゃない?」
本間が言う
「ね? 阿部?」
そして阿部をみてにーっと笑った
「…うん…」
まさに【恋】という視線を一点に向けつつ阿部がうなずいた