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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第七回・禄】祭男爵奇談

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「あれ? ラムちゃん…?」
ガサガサという音をBGMにして名前を呼ばれた緊那羅が振り返った
「こんばんは」
にっこり笑った本間の手には大きく膨れたビニール袋
「ペチャパイ?」
「やかましいッ!!;」
慧喜の言葉に本間の隣にいた阿部が怒鳴る
「練習見に来たの~!」
悠助が笑顔で言った
「じゃぁいっくと香奈は2と4にね? 私達は3と1行ってくる」
髪を緩く後ろに結んだ女子が靴を脱いで体育館の中に入るとそれに続いて数人の女子が体育館の中に入っていった
「アイスだ~!!」
悠助が阿部の持ったいた袋の中をのぞいて言った
「差し入れなの」
本間が緊那羅の横を通って靴を脱ぎ体育館の中に入った
「…残念だったね阿部」
そして振り向きニーっと笑う
「…別に」
阿部が少し膨れッ面をして本間に続く
「じゃぁ~…10分休憩!!」
体育館に一回手を叩く音が響いた

「何しに来たんだよ;」
カップに入ったアイスを片手に3馬鹿と京助が少し肌寒い体育館の入り口にやってきた
「練習見に来たの! いいなぁ~…アイス」
悠助が京助の手の中にある【爽(ブルーベリー)】を見て言う
「…半分な;」
悠助のたぶん本人は無意識なんだろうけど全身から出ている【僕もアイス食べたいナァ】オーラに京助がアイスを手渡した
「踊りの練習してるんだっちゃ?」
緊那羅がそれぞれ何人かのグループに分かれて床に腰を下ろしている生徒を見て聞く
「そ~! もう来週だしねお祭り! 毎年恒例なんだよ正月中学男子全員参加のヨサコイソーラン踊り」
南が木のヘラを咥えて言う
「それ何?」
慧喜が3馬鹿と京助のポケットに入っている見たことない物体をしげしげと見る
「鳴子なんだやな」
イヌが悠助からアイスをもらいながら答えた
「あっ; お前ッ!!;」
京助が大人気なくイヌに怒鳴る
「鳴子…?」
緊那羅が京助のポケットの中から顔を出している鳴子を見る
「こうやって…ホッ!」
中島が両手に鳴子を持ってポーズを決めると鳴子がカチャンと鳴った
「ソレもって踊るの?」
慧喜がいつの間に受け取ったのか悠助の(もとい京助の)アイスを悠助にあーんしてながら聞く
「コレがなくちゃヨサコイじゃないって」
南が言う
「でも本場稚内南中はもってねぇんだよな」
坂田が軽くゲップをした
「本場?」
緊那羅が聞く
「そ! 元祖?なんだかスゲェ荒れてた中学を救ったのがコノヨサコイソーランなんだとか…聞いてない?」
中島が同意を求めて見る
「金八センセ~!! 俺にアイス恵んで;」
ほぼ完食されつつある慧喜の手の中のアイスを見て京助が中島のアイスを狙う
「私…どんな曲なのか聴いてみたいっちゃ」
緊那羅が目をきらきらさせて言った
「何? ラムちゃん音楽好きなの?」
南が食べ終わったアイスに蓋をして緊那羅に聞く
「ソーランソーラン! ハイ! ハイ!! っての」
京助が軽く歌った
「…そー…?;」
緊那羅が首をかしげる
「…最後の方で曲にあわせて踊ると思うから聞いていけばいーじゃん;」
坂田が木のヘラを二つに割って言う
「あっと! ラムちゃん!?」
「のぁ!!;」
京助と中島の背後から飛び掛ってきたのは浜本
「あ…こんばんはだっちゃ」
つぶれた中島と京助の上の浜本に緊那羅が挨拶する
「何~? 踊り見物? 俺の勇姿も見てってね~? そしてホレてくれたらなお最高!」
浜本が親指を立てて言った
「重いわ!;」
京助が浜本に向かって怒鳴る