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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第七回・禄】祭男爵奇談

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空に鳴くは白いカモメ

歌うは白波日本海

吹くは潮風、磯の風

その風になびくは大漁旗

引き上げられた網に輝くは鰊の鱗

体育館が一瞬のうちに漁場に変わったよう感覚にその場にいた全員がとらわれた
海が近いといえどもココまで聞こえるはずのない波の音
かつてはこうだったのだと教科書でしか見たことのない鰊で栄えたという正月町の風景
大漁祈願で神社に参る大漁旗を掲げた鰊舟の群
大漁に沸く港…
まるで本当にソーラン節の歌詞の中の情景の中にいるような…


緊那羅が和笛を口から放すと体育館中の視線が自分に集まっているのに気がついた
「あ…;」
真っ赤になった緊那羅が俯く
「…凄い…」
宮津が目をキラキラさせて言った
「凄いよ! 金名さん!! やっぱり一緒にやろうよ!」
緊那羅の手を取って宮津が興奮気味に言う
「ラムちゃんって…歌上手いだけじゃなく笛も上手かったんだ…」
阿部があっけに取られた顔をして呟いた
「あ…でも笛なら迦楼羅のほうが…」
「何? 鳥類って笛吹けるのか?」
言いかけた緊那羅の言葉が京助によって遮られた
「京助」
阿部がいつの間にかステージに上ってきていた京助と3馬鹿を見て言う
「何やってんだお前は;」
京助が軽く緊那羅の頭を小突いた
「思いっきり目立っちゃったね~」
南が笑いながら言う
「ご…ごめんだっちゃ;」
緊那羅が京助に小突かれた頭をさすりながら俯き加減で謝る
「この子京助のイトコなんだって?」
香奈美がかなり短いスカートで足を組みながら聞く
「一応」
京助が答える
「いろんな意味で一応」
「そうそういろんな意味で一応」
「何が何でもいろんな意味でい・ち・お・う」
3馬鹿が腕を組みながら付け足した
「…一応にいろいろがつくの?」
が首をかしげる
「そうそう~もしかしたらイトコより深い仲…」
「えッ!?」
南が笑いながら言いかけるとどこからとも無く聞こえた驚きともなんとも取れるそんな声
「…ばぁか」
その声の主を探してきょろきょろしている面々に対し本間が肘で阿部を突いて呟く
「…;」
阿部が軽く咳をした
「ハイ! 練習再開するよ!」
パンッという一回手を叩く音が体育館に響いた
「さって…いきますか」
京助が伸びをしてステージから飛び降りる
「あ…京助!」
歩き出した京助を緊那羅が呼び止めた
「…ごめんだっちゃ…」
申し訳なさそうに緊那羅が言うと京助はヘッと笑って手を振りまた歩き出した
「ごめんね金名さん; 私が…」
宮津が苦笑いで緊那羅に言う
「そうそう宮津が悪い」
みかがしれっと言う
「あ~あ…ほら京助囲まれて質問攻め受けてるんじゃない? アレ」
香奈美が顎を手に乗せて指差す方向には浜本を筆頭に京助に群れている男子群
「きっと【彼女?】とか【誰アレ】とか聞かれてんだね」
みかが言うと阿部が密かに膨れる
「…顔に出てるよ」
そんな阿部の頬を本間がつついた