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妖怪たちの八百万

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学校までの道のりはそれほど遠くない。自転車で登校するのを憚られるくらいの短い距離だ。なので、僕は徒歩で登校することにしている。

毎日同じ通学路。そこに、ともすれば見過ごしてしないそうなくらいの小さな神社があった。住宅に挟まれるようにして存在する小さな鳥居と一対の狛犬。口を開けている方が阿形で閉じているのが吽形だったか。こちらも鳥居と同様にこじんまりとしていて、とても神社を守護するものには見えなかった。狛犬の片方、中空に向かって吼える阿形が若干薄汚れているように思える。ほとんど同じ場所にあるのに汚れ具合が左右の狛犬で異なることを不思議に思った。しかし、それも一瞬の疑問。ほんの数歩で神社前を通り過ぎる。

学校まではもうすぐだった。
作品名:妖怪たちの八百万 作家名:虎渕