お下げ髪の少女 前半
緒方は驚いていた。美緒に手を握られていた。更に驚かされた。美緒が嗚咽している。
「美緒さん。どうして泣いているの?」
「交換留学生のこと、だめになったの」
「……」
美緒は話し始めた。
美緒の交換留学の件は、意外にも英語教師である母親の反対で実現しないことになったのだった。女の子だから心配だというのが、その反対理由なのだった。
緒方は美緒をどのように慰めればよいのかと、苦慮した。
彼にしてみれば、それは手放しで喜びたい事実だった。その気持ちを抑えて慰めることなど、できそうにない。
また、星が流れた。幾つも流れた。つよく、二人は手を握り合った。
作品名:お下げ髪の少女 前半 作家名:マナーモード