お下げ髪の少女 前半
緒方は感動し、夜景がにじんでくるのを感じた。すぐ傍の美緒の潤んでいる眼も、夜景を美しく映して輝いている。忘れようとしても、忘れられない思い出ができたことは、間違いなかった。
「あっ!緒方さん!星空が!」
圧巻だった。隙間なく夥しい星が、漆黒の夜空を埋め尽くしていた。
「凄いな。こんな星空は見たことがない」
「ねぇ、凄いですね。わたし、幸せです……緒方さんは?」
美緒の緒方を凝視める眼が、すぐ傍にあった。
「勿論。勿論幸せです。でも、首が……」
「わたしも痛くなりそう……ねえ。横になったらいいですよ」
美緒は仰向けに、地面に横たわった。緒方もその横に並んだ。どきどきしている。
「あっ!流れ星がふたつ一緒に」
「見ました?一緒でしたね」
作品名:お下げ髪の少女 前半 作家名:マナーモード