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お下げ髪の少女 前半

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「俺さ、明日の分の水を、水場から調達してくるよ。一時間くらいで戻るけど、二人でどこかへ遊びに行かないでくれよな」
 緒方は自分も美緒の兄に、従いて行きたい気持ちになった。美緒とふたりきりという状況は、どうしても馴染めないものがあった。嬉しいという気持ちより、不安が先行してしまうのだ。
 「お兄ちゃんこそ、どこかへお酒を飲みに行っちゃ、だめよ」
「ばーか、こんなところにそんな店でもあるって云うのかよ」
「キツネが居酒屋をやってたら、素通りだぞ」
「わかった、わかった」
 テントの外に出て、二人で美緒の兄を見送った。
眼下に見事な夜景が広がっていた。息をのむ美しさだった。
「緒方さん!凄―い、きれいな夜景ですよ。こんなの、見たことありますか?」
「本当にきれいですね。素晴らしいなぁ。この夜景は、ずっと、想い出として残りますよ」
「いつまでもずっと、忘れないで生きて行きましょうね」