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お下げ髪の少女 前半

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「お好きな食べ物はどんなものですか?」
昨夜、眠る前に考えたことだった。 
「好きなものは果物ですね。特にスイカ、メロン、桃……それからぶどう、梨、柿です」
美緒は嬉しそうに応えた。
路が狭くなった。見上げると信じられない速さで雲が吹き飛ばされて行く。美緒の前を歩く緒方は、ときどき背後を振り返った。その度に、お下げ髪の美緒の姿を、緒方は好ましいと思った。胸が締め付けられるようだった。
「百パーセント、意見が合いましたね!」
「えっ!どうしたんですか?」
「スイカにメロンに桃、あとはぶどう、梨、柿。僕も大好きです」
「憶えちゃったんですか。なんだか恥ずかしいわ」
「じゃあ、好きな作家は?」
「好きな作家は三浦綾子です」
「そのひと、キリスト教徒でしたね。美緒さんも?」