お下げ髪の少女 前半
第6章 満天の星
夏山シーズンが終わったあとの、紅葉になる前の山は空いているだろう、という推測をしたのは杉原だった。そんな時期に彼の提案で、四人で登山をすることになった。その四人とは、杉原兄妹、美緒のクラスメイトの孝子、そして緒方である。
緒方は雨男だった。杉原に影響され、彼も山登りをするようになったのだが、いつも必ず雨に見舞われてきた。極めつけは去年の夏、杉原たちと出掛けた山では、急に御前崎沖に台風が発生し、ほぼ二十四時間、山小屋に閉じ込められた。そのとき同行していたのが、小泉と小宮だった。四人でトランプばかりしていた。飽きると本を読み、やがて眠った。台風一過の翌朝は、急いで下山するだけだった。倒木が路を塞いでいたり、崖崩れで路がなくなっているところもあった。
今回はてるてる坊主を作った。緒方は可愛い顔を書き、お下げ髪にした。姉には批判されたが、母は可愛いと云って笑っていた。
だが、願いも虚しく、雨の朝を迎えた。
集合場所は二つの鉄道路線が直角に交差する駅のホームの先頭車両が停止する場所だった。
作品名:お下げ髪の少女 前半 作家名:マナーモード