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お下げ髪の少女 前半

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 三人で夜半過ぎまで飲んだ。それぞれに悩みを抱えていた。それぞれに、将来が不安だった。
 緒方は絶望していた。死んでしまいたいというような気持ちになっていた。彼は云った。
「三人で同時に、このグラスめいっぱい注いで、ストレートで一気飲みしよう」
 大きなグラスだった。牛乳瓶よりもかなり多く入る大きさだ。
「緒方君、それを飲んだら美緒ちゃんを忘れられるのか?」
 小泉だった。
「世間には腐るほど沢山の女が居るんだ。そんなガリ勉の女なんか、忘れろ、忘れろ。よし、一気に飲んだら外に出て、百メートルを全力疾走だ!」
 小宮はそう云って笑った。
 緒方は飲んだ。さすがに、一気には飲めなかったが、とにかく全てを飲み干した。
 そのあと、既に就寝したらしい小泉の家族を気遣いながら、よろけながらも静かに三人は外へ出た。深夜の住宅街に人影はなかった。
「よーい、どん!」