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お下げ髪の少女 前半

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「そうか、残念だな。今から近所のコートで妹と、妹の同級生にテニスを教えることになってな。お前にも手伝って欲しいと思っていたんだ」
「杉原の妹って、一年生なんだっけ」
緒方は行きたかった。顔が熱くなるのを感じた。
「そうだよ。会ったことあるのか?」
更に熱くなった。学校の敷地から出た。
「どうかな……誰かと付き合ってるのか?」
「俺か?そんなことないよ。そんな相手がいたら妹とテニスなんてしないよ。誰か紹介してくれよ」
緒方は杉原の妹のことを、勇気を振り絞って聞いたつもりだった。
「……ニューポートに来れば不良女子高生に会えるぞ」
「ジャズ喫茶を、お前の姉さんの旦那がやってるんだってな。『ニューポート』って、店の名前なんだったよな」
「そうだよ。ブッカー・リトルのレコードもあるぞ」
それは杉原が崇拝している幻のトランペッターの名前だった。レコード盤は希少で、入手困難だった。
「えっ!そうか、テニスをやめてそっちへ行こうかな」
杉原は笑顔を輝かせた。