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表と裏の狭間には 八話―運命の文化祭―

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「大丈夫だ。途中で神人が乱入してくる設定だから。」
「何の心配!?しかも全然安心出来ないし!!むしろ閉鎖空間が展開されるという新たな不安材料が提示されただけなんだけど!?」
「あの二人なら、神人にだって勝つと信じている。」
「ハルヒと人類最強どっちが強いのかは確かに気になるけど!」
「ちゃんと閉鎖空間の上から封絶を被せるから大丈夫だ。被害は出ない。」
「フレイムヘイズか紅世の徒も出てくるの!?もう色々いすぎて意味不明だよ!」
「ClassSSS(死んだ世界戦線)も来るぞ。」
「あの世界から出て来れたの!?」
「英国女王(クイーン・レグナント)もカーテナを持ちつつグラストンベリを引き連れて参加してくれるそうだ。」
「全次元切断前提!?」
「へーきへーき。この学園では極東戦役(Far East Warfare)なんて日常茶飯事だから。」
「言いたい事はわかるけどな!だけど更なる不安を煽るな!本当にやってる気がしてきて怖いだろうが!?」
「さて。とある碧陽の生徒会的おふざけはこの辺にしておいて。」
「おふざけであることを切に願う!!」
「実際の展示はただのアル=カタだ。」
「もういいよネタは!!こんな陸地でアドシアードなんか展開するな!!」
こいつ今日はなんかテンション高いな……。
「実際はお化け屋敷よ。」
ゆりがとうとう割って入った。
「正直、あたしでも退くレベルのものが出来つつあるわね。今年のうちのクラスには救護班が常駐していないと危ないわ。」
「お前らどんだけスペック高いんだよ!?」
「うちのクラスにたまたま『恐怖を増幅する能力』を持つ奴がいただけよ。」
「まさかのスペック持ち!?この学校本格的におかしいよ!!」
今日はどいつもこいつもハイテンションだった。
……………決して筆者の気分で書いているわけではない。
……何を言ってるか自分でも分からないが、何かこう言わなきゃいけない気がしたんだ。
「理子と礼慈のクラスは何をするんだ?」
「わっちの主催によるキャバクラだね。」
「よし分かった。高校生にそんな事を強要する変態さんは素直に警察に自首しよう。」
「冗談だよー。」
今日の有閑倶楽部はどうにも生徒会っぽいノリだな。
杉崎氏の気持ちが分かるよ。
これは、疲れる。
いやまあ、本物の有閑倶楽部はそもそも生徒会役員なんだけどね。
「まー詳細は礼慈からどうぞ。」
と、言うわけで礼慈に向き直る。
扉の横に立って俯いていた礼慈は、顔を上げて言った。
「……ぼくたちのクラスは、『雛見沢疑似体験』を行うつもりです。」
「最悪だぁあああああああああ!!」
学校で何しようとしてるの!?
「ま、実際は焼きそば売ってるよ。」
「雛見沢全く関係ないな!!」
何でこいつらのクラスの展示内容を聞くだけでこんなに疲れるのだろうか……。
昼休みの時点でこの日の精力を根こそぎ持っていかれた気分だ。

そんなこんなで文化祭当日。
俺達のクラスは、普通に焼きそばや焼き鳥なんかを売ることになった。
そんなわけで自分のクラスを改造し、厨房では現在調理班が待機中だ。
俺は接客班に回された。
さて。
今頃校庭では開会式が行われ、開会セレモニーが行われているだろう。
文化祭最初のパフォーマンスが何かと気になった俺は、教室の窓からステージを見る。
この教室の窓からはステージが見えるのだ。
すると。
早速見たのを後悔するような光景が広がっていた。
ステージの上には10人の女子が乗っており、全員がチア姿だ。
ここまではいい。
セレモニーでチアをやるのは普通だろう。
問題は。
例えばその衣装が。とあるアニメのOPや最終話の完全版で使われていた、胸元に☆がプリントされているアレだったり。
ステージの中央に立つ四人の髪が、藍色の長髪だったり水色のボブやツインテールだったりピンクのストレートだったり。
ここまで言えば通じる人には通じるだろう。
通じない人は通じなくていいです。
他の面子もそれに準じた格好であり。
つまりは。
明らかに『ネタ』な光景が広がっていたのだ。
「…………………。」
俺は必至で目を逸らした。
しかし。
窓を閉め切っていても、音は聞こえてくるのだった。
曲名、『もってけ!セーラーふく』。

初っ端から色々な意味で飛ばしすぎだろうこの学校。
そして。
客の入りが異常だろうこの学校!
なんなんですかこの客の量は!?
文章では説明し辛いからどうしても杜撰な表現になるんだが。
開会式から一時間後、既に室内は満員。
更に客足は増える増える。
現在厨房スタッフはフル稼働状態である。
勿論接客スタッフは倍大変だけど。
なんてことを考えてる暇なんかねぇよ!
なんですかこの『聖徳太子』的状況!?
四方八方から飛び交う注文、更に運搬の依頼。
それらを瞬時に聞き分け、作業の分担を決定する。
そんな忙しすぎる時間が続いた。

「地獄だろ…………あれ……………。」
クラスの人間を午前班と午後班に分けていて、俺は午前班だった。
今は午後である。
店の客足は未だ絶えず。
午後班の連中、頑張れ。
ところで今日は金曜日のはずなんだが………。
何故こんなに客が多いんだ。
さて。
「これからどうすっかな………。」
パンフレットを見ながら考える。
蓮華は午後班のため、今日は一人で回ることになりそうだ。
「あいつらの店はどこだっけ…………。」
連中の所属するクラスを探す。
すると事前の告知通り、お化け屋敷、展示室、焼きそば店が見つかった。
「とり合えず、空腹を満たすか。」

一年六組。
店名、『アルカイダ』。
……世界各国の政府に喧嘩売ってるのかと疑いたくなる名前だなコレ。
「……………………。」
しかしこの名前が受けたのかなんなのか、客足は多い。
おそらく俺のクラスよりも。
とり合えず入る。
「いらっしゃーい!って紫苑じゃん。何?わっちの見目麗しいウェイトレス姿を拝みに来た?紫苑ってウェイトレス萌え?」
「それだけは絶対にないと断言する。両方ともだ。ついでにもう一つ。その他大勢から誤解を受けることを言うな。」
冗談にならないことをいいながらも、きちんと席へ案内する理子。
「どうだいこの衣装。めがっさ似合ってると思わないっかなー?」
うん、発音は当然ながら訛りも完璧だな。無駄に。
「でも衣装はオリジナルなんだな。」
「そりゃーねぇ。パクったら著作権で捕まりそうだし。」
「あのレベルの認知度の作品ならそこまでうるさい事は言われないと思うがな。」
あの作品の名前を知らない人は日本にいるのだろうか。
「メニューは焼きそばと水だけだからね!焼きそばは一つ三百円!水道水はタダで飲み放題!」
「お前、少しうるさい。」
テンション高いなこいつ。
「あれ?礼慈は?」
「あいつは厨房スタッフだよ。あの辛気臭い面で黙々と接客されちゃあテンション下がるって!」
「……辛気臭い顔で黙々と接客をするつもりは毛頭無かったのですがね。」
「って何かいる!?」
理子が驚いて振り向いた先にはエプロンをつけた礼慈が立っていた。
「……ようこそ。」
「なあ、あの世界に喧嘩を売ってるような店名は誰が決めたんだ?」
「……ぼくですが。」
「お前実は世界を憎んでいたのか……。」