らくがき
日傘は差さない
暑い夏がやってきた
覚悟はしていたはずなんだけど
既に陽は高く昇り
陽炎がグラグラと揺れる
君を訪ねる約束なのに
時間はもう残っていない
クーラーを切って
もう家を出なくちゃ
僕は男だから
日傘は差さない
そもそも日傘なんて持っていない
覚悟を決めてドアを開けると
オーブンの風が全身を叩く
半袖から出た腕にシャツにズボンに
湿度が纏わりつく
アスファルトを歩く
靴底が溶けて滑ってしまいそう
吸い込む空気が肺を焼く
乾いた汗がヒリヒリ痛い
僕は男だから
日傘は差さない
<日傘は差さない>2010.07.26