【第七回・伍】ごー・あ・(田)うぇい
「ヨシコお姉さん!」
白い布 (羽衣)のオプションがついたヨシコこと吉祥が阿修羅の頭から飛び上がり土手に着地する
「…やっぱお前類は友を呼ぶってな」
坂田が京助の肩を叩き言う
「コラ!! そこ!」
この騒ぎを先生達が黙って見ているわけはなく
「…キタキタキタ…;」
京助と坂田が迫ってくる先生集団を見ないようにして目をそらした
「何を騒いでいるんだ…やっぱりお前か京助に坂田;」
メガネをかけて髪を微妙にオールバックにした男性教諭が呆れ顔で京助と坂田を見る
「順ちゃん…やっぱって何やっぱって;」
坂田が【順ちゃん】と呼んだ男性教諭の後ろから女性教諭がやってきた
「悠くん、お兄さんお姉さんの言うこときかないと駄目でしょ?」
中年の結構キャリアがありそうな女性教諭が悠助の頭をなでながら注意する
「悠助に触るな!! 悠助を怒るなッ!!」
途端 慧喜が悠助を抱き上げて女性教諭に怒鳴る
「慧喜! いいの! 渋谷先生は先生だからいいの!!」
抱き上げられた悠助が慧喜に必死に説明する
「…で…京助…この方々は?」
順ちゃんが阿修羅とヨシコ、そして慧喜を一通り見て最後に京助を見た
「従兄弟です」
京助が何のためらいもなくきっぱりと真顔で答えた
「…随分変わった格好の従兄弟なんだな」
順ちゃんがヨシコと阿修羅の格好を見て言う
「え~あ~…;」
京助が説明に困っているのを見て坂田のメガネが光った
「順ちゃん実はコノ京助の従兄弟達中国雑技団なんだ」
「マジ!!?」
坂田の言葉に周りの一同が阿修羅とヨシコを取り囲んだ
「だからそんな色っぽい格好してんのかー!!」
「ねね! 何かやってやって!!」
「にーはお! にぃはお~!!」
あちこちから誰が言ったのかわからない言葉が阿修羅とヨシコに降りかかっていく
「…悪化してないか?」
京助が横目で坂田を見る
「…そう…かもですね」
坂田がその京助の目から逃れるように顔をそらした
「ちょ…何!?; 何なの!?;」
ヨシコがわけもわからないまま生徒達にもみくちゃにされている
「…オライ等が中国人とか主張せばいいんかね~?」
阿修羅が手を上げて京助に聞いてきた
「…まぁ…うん;」
京助が躊躇いがちに頷く
「ほーほーぅ…え~…じゃぁ…」
阿修羅がコホっと軽く咳をした
「***************** (たぶん中国語)」
「おおぉおおお!!」
阿修羅の言った言葉に生徒達がどよめいた
「****************!**************!? (たぶん中国語)」
さらに阿修羅が何か言った
「順ちゃん何ていってるかわかる?」
阿部が順ちゃんに聞く
「…阿部…先生は英語専門だ;」
順ちゃんが苦笑いで言う
「***********?*********…********* (たぶん中国語)!!でっかいの------------------!」
阿修羅が中島を見つけぶんぶんと手を振った
「ちょーごめんなーハイハイ」
阿修羅が生徒達を掻き分けて中島の元に行こうとする
「あ! もう! 待ってってば…ッ!;」
ヨシコも必死に阿修羅を追いかけて生徒達を掻き分ける
「中島~ご氏名~」
坂田が中島に向かって手を振る
「あ?」
泥だらけの手で苗を植えていた中島が顔を上げた
作品名:【第七回・伍】ごー・あ・(田)うぇい 作家名:島原あゆむ