【第七回・伍】ごー・あ・(田)うぇい
「中島!! おっかえり~!! ヨシコちゃん大丈夫だった!?」
中島の姿を見つけるなり南がすっ飛んできて二人を交互に見て言う
「京助と阿修羅は?」
中島が南に聞く
「まだ…まぁそのうち戻ってくるって」
南が笑った
「ヨシコお姉さん!!」
悠助が慧喜と手をつないでやってきた
「大丈夫? 怖かったでしょ?」
心配そうに見上げる悠助をヨシコが黙って見る
「…うん…怖かったけど…大丈夫だったわ…」
声は悠助に向けたものだったと思われるがヨシコの視線は中島の背中に向けられていた
「本当!? よかったぁ~…」
むっとしたままの慧喜をよそに悠助が笑う
「コレで京助と阿修羅が迷子になったって言ったら笑い事だよナァ」
坂田が笑う
「一緒にしなさんなって~の」
ザザッという音がして阿修羅が木の枝から飛び降りてきた
「っとに…よかったナァ ヨシコ」
首をコキコキ鳴らしながら阿修羅がヨシコに近づいた
「っだ~!!; 戻ってるなら戻ってるってなんか連絡よこせ!!」
阿修羅とは逆方向から文句と共に京助が現れた
「連絡って…もなぁ?」
坂田が南を見た
「携帯は坂田しかもってない上に圏外だし?」
南が中島を見る
「以心伝心しかなかったんじゃないですかね?」
中島が京助を見た
「…はぁ;」
大きな溜息をついて京助がその場に座りそして何かを思い出したように顔を上げて再び立ち上がった
「どうしたの京助?」
悠助が京助に聞く
「そうそう…途中で…」
「ああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
阿修羅がジェット機にも負けないであろう大声を上げた
「…やかましい;」
揃って耳を塞いだ一同が阿修羅を見る
「りゅ…竜のボン…それ…ソレ-----------------------------!!」
「やかましいッ!!;」
ワナワナと体を震わせて京助に阿修羅が近づく
「あ、見つけたんだ?」
南が塞いでいた手を離して京助の手の中のものを見た
「ハニワ」
京助がペイっと阿修羅に向けてハニワを投げた
「うあぁああああああ!! お帰りぃぅ!!」
しっかとハニワを抱きしめて阿修羅が歓喜の声を上げる
「あっくん…私の無事よりソレのが大事?」
ヨシコが腕を組んで阿修羅に聞いた
「おうよ!!」
ガスッ
作品名:【第七回・伍】ごー・あ・(田)うぇい 作家名:島原あゆむ