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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第七回・伍】ごー・あ・(田)うぇい

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上を見上げたヨシコが見たのは高く育った木々の間から見える微かな青空に飛ぶ鳥
おそらくカラスだと思えるその鳥をヨシコはただじっと見る
「…ひとりって…嫌よね」
眉を下げて笑ったヨシコが呟いた
「なら…駆け出すな; 方向音痴;」
ガサっという音に続いてズザサササ…っという音、そしてスザっという音で〆られた
「…き…キャ---------------------------------------------------!!!」
「うぃお!?;」
ヨシコが目をつぶって後ろ蹴りをかますが何にも当たらずただ宙を足が切る
「待て待て待て待て-------------ッ!!;」
「キャ-----------------!! イヤ--------------------------------!!」
連続で繰り出される当たれば吹っ飛びそうなヨシコの蹴りがヒュンヒュンと音を立てる
「待てっての!! ヨシコ!!;」
名前を呼ばれてヨシコが足を止めた
「…え…?」
ヨシコが足を下げて目を開けそして顔を上げた
「…あなた…確か京助の…」
ヨシコの目線の先には腕で顔を防御しつつヘッピリ腰の中島がいた
「俺を殺す気か;」
ハァ~っと溜息をついて中島が腕を下ろした
「なんで…」
ヨシコが中島を見上げる
「悪かったな阿修羅じゃなくて。探しにきたんだよ方向音痴」
汗でくっついていた前髪をかき上げて中島がヨシコを見下ろす
「私を…?」
ヨシコが自分を指差して聞く
「他に誰を」
中島が言う
「…頼んでないわ」
ヨシコが言うと中島がむっとした顔をした
「あ~ハイハイそうですね!! 頼まれてねぇですよ! お前にはな」
中島が怒ったように言う
「でも悠とか阿修羅には頼まれたんだよ」
腰に手を当てて中島がヨシコを見た
「だから言っただろうが。阿修羅じゃなくて悪かったなってよ…ついてこいよ」
中島がフィっと背中を向けた
「…嫌なら俺を見失わない程度に離れて歩けばいいだろ」
背中を向けたまま中島がヨシコに言う
「…わかってるわよッ!! …そんなこと言われなくたって…」
「なら早く来い」
立ち上がったヨシコに中島が言った
「お礼なんて言わないんだから…そう! 絶対言わないわ!! だって私は頼んでないもの!!」
「ヘイヘイご自由に」
声を張り上げたヨシコに対し中島が手をヒラヒラさせて言う
「…言わないわ…」
ヨシコが今度は小声で言った
パキッという小枝が折れる音が歩くたびに足元から聞こえる
「…何よ」
チラッと振り返った中島をヨシコが睨む
「別に…ちゃんとついてきてるか見ただけ」
歩きながら中島が言う
「ついて来てるわよ!!」
「今見たからわかってるっての」
ヨシコが怒鳴ると中島が前を向いて言った
「…ムカつくわ…」
ヨシコが呟く
「ご勝手に」
中島がさらっと返す
「…大ッ嫌いッ!!」
「ヘイヘイそりゃドウモ」
中島が目の前にあった枝を手でどけると見覚えある景色が広がった