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郷田三郎(G3)
郷田三郎(G3)
novelistID. 29622
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こんばんは ④<クリスマスの種>

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「やあ、ごめんごめん。はやく終わらせないと他にも行くところがあるのでね」

「……」

「ああ、これだったね」

 おじいさんは手に持った布袋を少し持ちあげると今度はしゃがんでこうちゃんが中を覗けるように袋の口を開けてくれました。

「これはね、クリスマスの種と言うんじゃよ」

「クリスマスの種?」

「そう、今年は君の家にも新しい家族が増えたじゃろ?これはそんな家の庭に撒いておくモノなんじゃ」

 袋の中には小さい種の様なものがいっぱい入っている様でした。でもそんなことを説明されてもこうちゃんにはさっぱり分かりません。

 で、「何をするモノなんですか?」と聞くと。

「それはナイショじゃ。それよりワシが誰なのか知りたいじゃろ? 実はねサンタクロースなんじゃよ」

 こんどはこうちゃんがビックリしました。

「ええ!本当?!」

「でもサンタさんの格好じゃないし、あんまり太ってないし、ヒゲだってちょっとじゃない? それにトナカイさんは???」

 こうちゃんは一度は驚いたものの、やっぱりだまされているんじゃないかと思ったのです。

「ほっほっほぉ、そりゃあ夏じゃからの。
 あんな格好はしとられんし、ヒゲも寒さ除けじゃから冬だけじゃ。
 それにこうして、夏の仕事をしていると、どんどんやせてしまうのじゃよ。
 特に今年の夏はトナカイのヤツがひどい夏バテでな、ワシも結構しんどいんじゃ」

 なるほど、そう言われればそんな気もします。

 でも小学五年生ですからね。そんな簡単にはサンタクロースなど信じられません。